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Showing posts from February, 2018

ジョンの生き写し

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長くて大変なプロジェクトが一つ山場を超えました。描きかけだった水彩画をやっと完成させる時間ができました。水彩画に関してまだまだの私ですが、最近やっとあることに気づきました。「絵を描く」ということは、目の前に見えているものを描き写すだけではだめで、そのものの「本質」を写し取ることが大事なのではないだろうか。 これは、おそらく絵の世界だけでなく、小説、俳句、音楽などの表現芸術の何にでも当てはまることなのかもしれません。漫画やアニメも、物事の本質を「ごくごくシンプル」に描き起こすところに妙味があるのではないでしょうか。いまさらですけどね。 世の中には、ビートルズをコピーする「ビートルズ・トリビュート」バンドがたくさんあります。最近、その中でも飛び抜けてすごいグループを発見しました。「ファブ・フォー (Fab Four)」というバンドですが、彼らにはビートルズの「本質」を再現するというもの凄い意気込みを感じます。 よかったら、文末に載せたYoutube映像をご覧ください。傑作アルバム「サージェント・ペパーズ」のハイライトです。ライブでは再現不可能と言われたこのアルバムのサウンドを、四人だけのステージで再現しています。当時の四人がそのまま蘇ったようですね。特に後半の「A Day in the Life」には鳥肌が立つほどの迫真性!(文末のYoutube映像は、そのあたりから始まるようにしました..) このバンドの中心メンバーは、ロン・マクニール(Ron McNeil)という方です。担当はジョン・レノンなのですが、これが演奏中はまさに生き写し。見ているとジョンが生き返ったみたいで涙が出てくるほど。ご本人は、ジョン・レノンとは顔つきも違うし、体格もちょっと違う。ところがメイクを決めて歌い始めると、これがジョンの生き写しとなるのです。 ロン・マクニールさんのインタビューの入った素敵なドキュメンタリーもあります。ジョンの生い立ちから、ジョンの作品の本質まで、研究して研鑽をんだ末の「生き写し」であることがわかります。まさに「本質を掴む」努力の賜物なのでしょうか。 ジョンもジョージも生きている。そんな幻想を味あわせてくれるファブ・フォーのライブが見たいですね!また日本に来てくれないかなー。

AIに恐怖心はあるか

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「棋士とAI」という本を読んでみた。さすが敬愛するF先生が、フェイスブックで紹介されていた本だけあって、とても面白かったです。 イ・セドルとの闘いで有名になった「アルファ碁」など、囲碁AIソフトを通して、人間とAIの違いや、囲碁の世界の魅力についてわかり易く語られている。囲碁音痴の私でも、その奥深さの一端がわかったような気がする。 人間とAI。 その違いはいろいろあるが、大きな違いは「恐怖心」があるかどうか。人間の棋士の心には、「もしかして負けるのではないか」とか「ここまでの手順が無駄になるのでは」などという「心配」や「恐れ」がどうしても生まれる。こうした心理は、棋士の「次の一手」に大きな影響を及ぼす。 その点でAI側には、こうした心理がない。全ての判断は試合の各局面ごとの単純な確率計算に過ぎない。人間ならばこだわるはずの「駆け引き」や「因果関係」もない。先が見えない時に人間が頼る「大局観」や「希望的観測」もない。こうした心理的プロセスがないから、迷いも生まれない。 そういえば、スター・ウォーズのようなSF映画で、C3POなどのドロイドは良く確率論を持ちだしますよね。「この作戦が成功する確率は、0.000003です」とか、「我々の生存率は、1/64000です」とか言ってます。彼らが拠り所にするのはやはり確率だけなのか。 映画では、そこにハン・ソロのような「感覚人間」が出てくるから面白くなる。「確率とかウダウダ言うな」という感じで、ドロイドをどついて暴走するのがいい。このあたりがSF映画の醍醐味だし、いまのところ映画の世界では、人間の方ががAIより元気がいい。 今日の絵は、緑に囲まれたマレーシアのホテルのプール。確率論などとは無縁の楽天でした。 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -