女性のパワーアップ
米国の未来学者、 アルビン・トフラー氏 が、最初の著作「未来の衝撃」を発表してから今年で40年になる。 トフラー氏は「未来の衝撃」の中で、以下のような予言をしたが、いずれもすでに現実として起こった。 1:情報が世界中に瞬時に届けられるようになる(ツィッター) 2:同性婚カップルが養子を育てるようになる(先進国で実現) 3:大規模な事故を含む環境破壊が起きる(メキシコ湾の原油流出) 未来学者、アルビン・トフラー氏の面目躍如である。 氏が共同創設したシンクタンク「トフラー・アソシエイツ」は今月、今後40年の未来を予測する調査を実施し、以下のような結果をまとめたという*。同じく未来社会を鋭く予測した、ピーター・ドラッカー流に言えば「すでに起こった未来」というところか。その中で際だった予想がこれ。「女性のパワーアップ」だ。 今後3年間で行われる約80カ国での大統領選の結果、かつてない勢いで女性指導者が増え、女性のリーダーシップが世界中で高まるという。人口の約半分を占める女性の意志決定参加なしには、政権運営は成功しないというのが、その理由だ。 日本でも、音楽業界、出版界ともに、成功のキーワードは女性になりつつある。女性の人気を得ることができなければ、CDも雑誌も売れない。テレビ番組の視聴率も女性が主導権を持っている。男性は、競争社会の中で身を粉にして働くばかりで、意外に、政権選択や経済市場における意思決定には、参加できていないのだ。 男は夢みたいなことばっかり言っていて結局は草食系。実社会を動かすのは、女性のしっかりとした現実感覚だ。これを肉食系というのだろう。食文化を選ぶのも女性、ファッションをリードし、住居を選ぶのも女性、旅行先を決めるのも女性だ。男性は実社会で偉そうにしてはいるものの、政治や文化的世界でのリード権を、女性に握られつつあるのだ。 大学も、女性に選ばれるようでなければ生き残ることは難しい。東京工科大学・メディア学部は、「工科大学」というキーワードがネックとなり、男子学生の比率が高い。しかしこれからは、こうした女性が作る社会のトレンドをつかみ、トフラー・アソシエイツの予測を先取りするような、教育カリキュラムを作っていかなければならないと考えている。 * 10月25日版 SANKEI EXPRESS 記事「 40年後 女性