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Showing posts from 2021

スコールと青空

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日本とマレーシアの間には、MJHEPという、留学生受け入れの教育プログラムがある。 マレーシアで上位5%という学生さんが、まずは日本語を徹底的に勉強する。その後、日本の大学の編入試験を日本語で受ける。配慮の行き届いた素晴らしい留学制度である。 編入試験は、日本の大学の先生方がマレーシアに訪れて行う(その方が旅費が節約できる)。私も試験のために2度現地を訪れた。試験に来る学生さんは、みな日本への関心が高く、ピュアな感性と向学心の持ち主が多く、面接はとても楽しかった。 試験のある11月は雨季。夕方になると突然、雷鳴が鳴り、土砂降りの雨となる。面接の声が聞き取れなくなったり、ホテルのバルコニーに濁流があふれたりもした。スコールのあとは、決まって虹と青空が出る。 マレーシアの学生さんは、きらきらと輝く目をしていて、豊かな感性の持ち主に思えた。もしかするとそれは、現地の気候にも関係しているのかもしれない。スコールと青空。この激しくも、くっきりとした自然の中で、雨に洗い流されたような心が育まれるのだろうか。

コペルニクス

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NHKで働いていた頃、仕事が終わらずよく遅くまで残って図面やスケッチを描いていた。夜10時すぎくらいになると、スタジオで収録を終えた先輩たちが、ひとり、ふたりと部屋に戻ってくる。みな帰る前に、決まって私の背後までやってくる。 みな、私の仕事にひとこと批評をくれてから帰るのだ。有難いことではないか。 「あー、それダメでしょ。遠近感逆でしょそれでは。下手だねー」  「なに描いてんの、そのパーツ意味ないんじゃない?予算の無駄」 「ひどい色だねー。やりなおしたら?はじめからやったほういい」 「ささきちゃん意外とうまいね」とか、ほめられることなんて、100パーセント、ない。 だけど、先輩に声をかけてもらう、むちゃくちゃ言われる。そういうのが日常だった。むこうもこっちも、遠慮なく言い合いをしたり、批評をしたり。年齢の差なんか関係なく本気でぶつかりあう。熱いコミュニケーションがあった。いま思えば、かけがえのない経験だったかもしれない。 コペルニクス先生がポーランド人とは知りませんでした。 ワルシャワの東のはずれの旧市街。大きな台座に座る記念像があります。どこから見ても堂々としていて美しい。 それはそうでしょ。 地動説を発見した人。世界観をひっくり返した、人類の大先輩。 夢のまた夢とは知りつつ、コペルニクス先輩みたいな大偉人と飲みに行って語り合えたら... どんなに面白いことだろう?「ほんとに地球は丸いんですか?」とか聞いてみたい。 ド緊張してなにも話せないとは思うけど。

若いときは

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「若いときは、失敗をおそれずにチャレンジしなさい」 大学でよく使われる台詞のひとつです。大人の世界の一員になったあとで、大きな失敗をすると大変なので、若いうちに(社会に出る前に)たくさん失敗しておきなさい。私もそのとおりだと思うので、似たようなことをよく言うかも。学生さんたちへの老婆心というやつです。 ところがこういう言い方もある。 「失敗を若さのせいにしてはいけない」 若いからといって甘えずに、自分の行動には責任を持ちなさいという意味か。どちらにせよ、若いということは大変なことなのだ。世間のルールもわからず、物事の道理もわからず、それでも正しく生きなければならない。私が若かった頃は、もう少しおおらかだったような気がするんだけど... このスケッチは、ポーランドの南端の街「チェシン」の道です。私が滞在していたホテルから、シレジア大学のキャンパスに向かうのに毎日通った道です。全面的に石畳なので、歩くと足へのショックが大きい。しばらく足の痛みが続きました。 この道の先にある教室の学生さんたち。 ポーランドで育った彼らは、なんだかとっても大人でした。 なぜなのか?どこが違うのか? いまも考えています。

ロールキャベツ

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昨年のいまごろはゴートゥ・キャンペーンなどもあって、感染に気をつけながら少しは旅行気分を味わうことができた。それにくらべると今年の夏は、ただただ暑いばかりでどこへも逃げ場がない。たまった仕事がはかどるなぁー、なんて思っていたのも先月までのこと。 オリンピックも終わってしまって、取り残されたようなこの猛暑。みなさま、いかがお過ごしでしょうか? このロールキャベツを群馬のホテルで食べたのは2018年の8月のことです。遠出しておいしいものをいただくなんてことは、しばらくはおあずけになりそうですね。夏休みの宿題の合間に、すこしは時間あるので、自分で作ってみますかねー。ひさしぶりのブログ投稿でした。