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Showing posts from January, 2014

ドーナツの分け前

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ドーナツというものは、小麦に卵や砂糖などをまぜた「ドウ」を油で揚げて「ナッツ」を乗せたものが起源だとか。「ナッツ」が無いときに、仕方なく穴を開けたのが、ドーナツの穴のはじまり。こんな話がいろいろと残っているのだそうだが、真相はわからない。 ただ、こうしてタリーズコーヒーで、300円も払えば、日本でもおいしいドーナツをいただくことができる。嬉しいことである。これでもし、ドーナツの製法についての特許が申請されていて、どこかで「純正ドーナツ製法保存協会」のような団体が、権利料を徴収していたとしたらそうはいかなかったかも。 僕がドーナツをひとつ食べるたびに、50円ほどの「製法使用料」を支払い、その50円は、どこかの権利者のもとへ届けられる。かくしてドーナツは、少しだけ高級な食品となり、特別な日に食べるデザートの仲間入りをする。

エレクトロニクスな時代

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このイラストの道は、「ブラック・ライオン・レイン」といって、ロンドンの西部「ハマースミス」といわれる地域にある。以前つとめていた会社の「海外調査」という目的で僕はこの通りに2ヶ月暮らしていた。ちょうど、湾岸戦争が勃発した年のはじめで、世界を覆い始める不穏な空気はあったが、相変わらず日本では空前のバブル好景気。基本的には楽観的な時代だった。 ロンドンの町並みはこの絵のように、どこを見ても石や鉄に囲まれていて、文字通り「固い」印象を受ける。木と紙の文化で育った日本人にしてみると、町にあふれる音の反響の仕方までが違うような気がしたものだ。 それである時、なるほどと気がついた。こういう「硬質」な環境だからこそ、ビートルズの音楽は、あんなにもドライでかっこいいサウンドになったのか。こんなハードな材質に囲まれた街で、ギターを鳴らしたならば、当然あのように質感のはっきりした、明瞭で重みのある音が出来上がるのかと。

1966年のペニー・レイン

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1966年の年末。ロンドンで、ポール・マッカートニーは「ペニー・レイン」という名曲に取り組んでいた。「ペニー・レイン」のレコーディング作業は、年末に開始されたのだけど、途中のまま年越しとなった。1966年12月30日の深夜12時過ぎに中断されて、年越しの宿題となった。 新年1月2日の月曜日と4日の水曜日には、ジョージ・マーティンとジェフ・エメリックが、正月返上で出勤をして、アメリカに送るためのミックスダウンを、作っていのだそうだけどね。 正月明けの6日以降、ペニー・レインの録音作業は3週間近くも続き、多層的で精緻なサウンドが重ねられていった。当時ビートルズは、常識はずれのスタイルで、誰もやったことがない革命的スタジオ・レコーディング技術に挑戦していたのだ。

潜伏するパンジー

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このパンジーが植えられたのは、ケヤキが落葉する前だったはず。でも今は、こうして落ち葉のクッションに埋もれるようにして咲いている。水彩画に描くために、一生懸命アイフォンのレンズを向けるのだが、花がみんなうつむいていて、表情がわからない。 目の前にある大きなケヤキの樹のせいで、我が家の狭い庭は茶色い落ち葉で埋まってしまう。おそらくこの落ち葉のつもったところは、冬を越す虫たちの快適な寝床になっていたりするのだろう。パンジーにとっても、寝心地の良い枕のようにも見える。

葡萄酒を見習います

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いま、山田洋次監督の著書「映画をつくる」を読んでいる。この本には、謙虚で慎み深く、そしてなによりも映画人として並外れた努力家である監督の、珠玉の言葉が編纂されている。よくぞ1970年代というタイミングで、この本が書かれていたものだ。 「創造する者は語らず、創造するのみ」という信条を持ち、他人の作品の批評も、自作の解説もしたくないという山田監督を説得し、おがみたおして、こういう本という形で残してくれた編集者に感謝の意を表したい。 この本の中で山田洋次監督は、「芸術というものは、アミュージング(楽しく)誰にでも分かりやすいものでなければならない」という趣旨のことを繰り返し語っている。 そういうわかりやすい作品の対極には、小難しい理屈や、説教じみたもの、あるいはひねくれた細工のされたストーリーなどの作品はあるし、なかなか優れたものはあるのだ。時には考え込んだり、がっくりきたりするような映画も見なければならないのかもしれない。

シルヴァー・クリーク残照

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テレビや映画が作り出した人物キャラクターに思い入れる。そういうことありますよね。この人いい人だなとか、この人自分に似ているなとか、自分を投影してすっかり好きになってしまう。 僕のお気に入りキャラ。まずは「ミッド・ナイト・ラン」のジャック・ウォルシュ。それから「プルーフ・オブ・ライフ」のテリー・ソーン。どちらも男一匹で、誰にも理解されなくとも意地だけで目的を達成するキャラクター。泣けますホント。彼らには長生きして活躍して欲しい、とそう思う。

帝釈天参道の青空

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雲ひとつない青空を吹き抜ける南風。矢切の渡しが行き来する江戸川を渡ると、岸辺ではたくさんの凧が飛んでいました。ここは柴又帝釈天へ続く川岸。 参拝を終えて、参道の人波をかき分け進んで、いつもの「かなん亭」にたどり着きました。もつ煮込み、特製ラーメン、ミニ鰻丼、焼き鳥、そして寒天。どれもこ柴又の定番メニューです。特に寒天は、地元千葉で捕れる天然の天草から製造している逸品なのです。