グランドホッグ・デイ

毎朝6時になると...

テレビ関係の集まりがありまして、久しぶりに赤坂のTBSにお邪魔してきました。
テレビ美術の古くからの友人が、おしゃべりにおつきあいしてくれました。

それで、このブログにこのあいだ書いた話をした。

「毎年4月になると、大学はリセットされて一年前の状態に戻るんです」
「高校野球の監督も同じこと言ってるね。でもさ、それが面白いらしいよ」

なるほどー。

われわれ大学教員といのは、高校野球の監督に似ているのだ。どんだけ手塩にかけて(古い表現!)学生を育てあげても、4月になれば卒業していなくなってしまう。そして、手元に残るのは、下級生と、ただただフレッシュな新入生だけ。1年が振り出しに戻る。

しかし、彼曰く「それが面白い」のだと。高校野球の監督のみなさんは、それを何年も何年も続けている。そしてある時に、素晴らしい条件が揃った年、全国に打って出るチャンスを得る。なるほど、そういうことなのだ。ちょっと目が覚めました。

前に一度、このブログにも書いたけど、タイム・パラドックスの映画で、最高に面白いのが「恋はデジャヴ(Groundhog Day)」ですね。ビル・マーレー演じる主人公(フィル・コナーズ:地方テレビの天気予報キャスター)は、来る日も来る日も「同じ一日=グランド・ホッグ・デイ」を過ごす、タイム・パラドックスに陥る。毎朝6時きっかりになると、前の一日に逆戻り。

自分以外の誰も、この理不尽な状況を分かってはくれない。毎朝6時になると、昨日と同じ目覚まし時計が、昨日と同じ番組を流し始める。毎日はきっかりと同じ、2月2日のグランドホッグ・デイなのだ。

気が遠くなるような話だが、このタイム・ワープの中での、主人公の「あがき」かたが傑作なのです。はじめは、悪知恵を働かせて、悪逆の限りを尽くしているけど、そのうちに行動のすべてに神がかり的な輝きが宿るようになる。最後はついに、神の使いのような美しい行動と心をまとった、本当の紳士に成長する。

そして、本人が成長をとげ、自己犠牲と隣人愛に満ちた存在まで成長したとき。すべてが成就してタイム・パラドックスの罠は解き放たれる。

まあ、よくよく考えて見れば、私たちみんなの人生と同じこと。成長をとげた人だけが、次のステージへと進む。成長がない人はずーっと同じ人生を続ける。きびしい解釈ではあるけれど、まあ、そういうこと。

公開後になって、さまざまな解釈と評価が拡がる。そういう映画ってありますね。観た人がそれぞれに解釈を拡げられる。そういうの大好きです。この映画を残してくれた、故ハロルド・レイミス監督に感謝です。


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