投稿

2月, 2010の投稿を表示しています

カーリング作戦要務令

イメージ
「カーリング女子日本代表のチーム青森が、1次リーグで3勝3敗で並んでいたスイスと対戦して敗北した。ミスを連発し、阿部監督も意図が分からないと首をかしげるようなショットを放つ場面もあったという。 日本は2エンドを残して、力尽きた。第8エンドで2点を奪われ、4-10。スキップの目黒は、相手選手に握手を求め、ギブアップの意思を表示した」

じっくりと勝負を見続けることができない性格なので、早朝のオリンピック中継を見ながらも、この試合の展開がいまひとつ読めなかった私。しかし、NHKのアナウンサーと解説者の話を聞いていると、この試合では、スイスチームのほうが一枚も二枚も上手であったということは良く分かりました。とにかく、スキップ(主将)のオットー選手のショット成功率が94%であったとか、ミスの目立った日本に比べて、スイスチームのプレーの精度の高さが目立ったと聞きます。

一方で「作戦の進め方」など、経験の差に言及する評論も聞きます。「氷上のチェス」と言われるカーリング、試合の進め方、その組み立てがものを言うのですね。「日本チームは、ここで点数を取ったというよりも、『取らされてしまった』ということ」という解説者の言葉が象徴的でした。スイスチームは、ショットが安定している上に、精神面でもしっかりと落ち着いていたようです。着実に「作戦を遂行している」というような、選手の自信に溢れた表情が強く印象に残りました。

たった8個のストーンですが、その配置は試合ごとに千変万化、ゲームの展開にはあらゆる可能性があるでしょう。冷たい氷の上で、世界レベルでの緊迫したゲーム。その複雑な展開を読み、冷静な判断を続けるというのは、どれだけ難しいことかと思います。

本日、全試合が終了。スェーデン(金)、カナダ(銀)、中国(銅)、スイスは4位、日本は8位という結果でした。日本に苦杯をなめさせたスイスを、三位決定戦で下したのは中国。初出場ながら堂々の銅メダルを獲得しました。唐突ですが、その中国には、「孫子」という歴史的名著があります。古来からの戦闘に関する英知をまとめた、兵法の決定版です。戦略的スポーツである、カーリングにおいても、作戦要務令集として、役立っていたのではないでしょうか。

つづきを読む>>>

eコマースの行方はわからない

イメージ
ピーター・F・ドラッカー氏は、2002年発刊の著書「ネクスト・ソサエティ」第2部・第1章の冒頭で、IT革命におけるeコマース(電子商取引)の未来について以下のように語っている。
「eコマースは経済、市場、産業構造を根底から変える。製品、サービス、流通、消費者、消費行動、労働市場を変える。さらにはわれわれの社会、政治、世界観、そして我々自身にインパクトを与える。(p.71)」「鉄道が生んだ心理的な地理によって人は距離を克服し、eコマースが生んだ心理的な地理によって人は距離をなくす。もはや世界には一つの経済、一つの市場しかない。このことは、地場の小さな市場を相手にする中小企業さえグローバルな競争力を必要とすることを意味する。競争は、もはやローカルたりえない。国境はない。(p.79)」 [*1]
ドラッカー氏は、ネット上の電子取引によって、世界中の多様な製品が注文可能となり、グローバルな配送網の実現が、さらに物理的な距離とは無関係の、全く新しい商品市場が生まれるということを予見する。商品価格は、その産地の地域特性とは関係なく決定される。生産者による独占が無い限り、市場の閉鎖性による価格差も消滅する。消費者から見ると、その土地に行かなければ手に入らないという、距離のカベも取り払われてしまう。生産者の事業規模の大小も、問題にはならない。市場価格のバリア、距離のバリア、事業規模のバリア、これらが消滅する。
ネットという市場で自由競争によって売買されるということ。そして、世界中どこへでも最短時間で配送されるということ。ネット市場と新しい物流網。この2つのイノベーションによって、eコマースは成長し、巨大なインパクトを与えるという、ドラッカー氏の予見。これらは、まさに今、われわれの目の前で現実となりつつある。以下、その実例を最近の新聞記事から拾ってみたい。

つづきを読む>>>