大海の底深く新しい知識の泡が生まれる


それではまた、リチャード・ファインマン先生の詩をご紹介しますね。

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海底深く分子は
すべて互いのパターンを繰り返す
新しく複雑なものが生まれるまで

こうして生まれたものはまた自らとそっくりなものを作っていく
そしてまた新しい踊りがはじまるのだ [ 中略 ]

ゆりかごを離れ
こうして今 乾いた土地に佇む私は
意識ある原子
好奇の目を持った物質だ

恣意することの驚異に打たれ
私は海辺に立ちつくす  [ ☆1 ]

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無秩序のように見える宇宙のいとなみ。しかし、137億年という時間の中で、いつのまにかタンパク質のダンスが生まれ、生物が生まれ、紙に文字を書き付けるような生命体までが登場した。地球という奇跡の星で。

地球上での42億年の旅の末に、人類は文字を発明しました。先達たちが残してくれたものは、書物という形に結晶しています。山と積まれた本。それは人生の先輩たちからの手紙。それは、地球という場所に生まれた知識の大海。今日もその大海の底深く知識の泡が生まれる。

大学という場所はとても素晴らしい場所。純粋な知識へのあこがれをもって集まってくる学生。人類の将来を描くユートピア。人類の未来のために最高の答えを探す。それらを包み込む大海のように存在するのが大学という場所なのかと思います。

しかし最近では、大学にはあまりこうした時間がないのです。就職率という数字が重んじられて、就職戦線があまりにも早く展開するため、3年生になるともう学生には落ち着いた勉強の時間がありません。4年ともなると、就職が決まるまでは、勉強も研究も落ち着いて手をつけることが難しい。

学生たちには、長い人生を設計する上で、本当に大事な価値観を身につけて、強い人間になって社会に飛び出していってほしい。しかしそんな思いとは裏腹に、慌ただしく身支度をして、社会に出て行かざるを得ない若者たち。

自然界に対して万感の思いを語り、宇宙への畏敬を持ち、人生の深みを教える場所。大学という場所は、いつもそんな場所であってほしいものだと思います。「大学とは地球上で最も美しい場所である」と誰かがおっしゃっていました。

ああ。ファインマン先生が、異界から戻ってきて下さったらなあ。
ワインでも飲みながら、ぜひ一度ご意見を聞いてみたいものです。

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☆1 「困りますファインマンさん」 p.308より

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