2016年11月16日水曜日

あなたの中のカエル


私たちのボディプランは、カエルのボディプランとよく似ている。体の先についている頭部に、ふたつの眼、鼻と口がある。体には前と後ろがあり、体の両側には二本の腕と二本の脚がある。腕立て伏せのような体制で頭を持ち上げることができる。

こうした類似は、カエルから人間にいたる進化を示唆している。何億年もさかのぼった地層からでてくる化石は、カエルの構造が少しずつ人間に近づいていくことを教え、カエルDNAパーツの多くは、いまも人類の体の構造を決定するために使われる。

発生学と遺伝子研究が結びついて「エボデボ(発生進化生物学)☆1」という新しいジャンルの学問が生まれた。そこにさらに古生物学の化石研究が新しい論証を加える。ニール・シューピンによる「ヒトのなかの魚、魚の中のヒト」という本は、生物学におけるこうした驚くべき発見の数々を、順序立ててわかりやすく教えてくれる。

彼は、研究室で胚の発生過程を観察する生活と、北極圏に露出する岩盤を渡り歩いて化石を収集する生活をダイナミックに行き来する研究者だ。水生動物から陸生動物への進化をつなぐミッシング・リンクであるティクターリクを発見した。しかし、そのシューピン博士にも、何年もの間収穫もなくさまようだけの空しい時もあった。

そんな時に彼はこうするという。

「非常に子供じみて、惨めとさえいえる作業と、人間の知的目標の一つが背中合わせであることを、私はしっかりと認識していた。どこか新しい場所を発掘するとき、私は毎回そのことを自分に言い聞かせる」☆2


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☆1:evolutionary development biology
☆2:出典:ニール・シューピン「ヒトのなかの魚、魚の中のヒト(Your Innner Fish) 最新科学が明らかにする人類進化35億年の旅」ハヤカワ ノンフィクション文庫 p.107