野尻湖の水


家のエアコンがこわれてしまった。消費税増税前の駆け込み注文と猛暑が重なってしまい、ぜんぜん修理に来てくれない。せっかくの夏休みが、我慢大会のようになってきたので、ついに野尻湖まで避暑に行った。

古い旅館をリノベーションしたペンションに泊まったのだが、オーナーは外国人の方であった。到着時刻を連絡するのに何度か電話したのに、外国人とは気がつかないほど、流暢な日本語を話す方だ。ひとなつこくて親切な彼は、食事中もずっと横にたって地元の話などを聞かせてくれました。いつか話題は、野尻湖の水の利権について。

「マッカーサーは憲法は変えたんですけど、日本の水の権利については手をつけなかったんですよ。野尻湖にかんする利権も明治のままなのです。知ってますか?」

「へえー。いや、しりまへん」

「野尻湖での釣りの許可については漁業組合が仕切ってます。釣り人のために鱒を放してるので、もとの自然の生態系ではないのです。桟橋を作るには国(国土交通省?)の許可がいります。湖の水量の管理は東北電力です。一旦新潟に水が流れれば、その水の権利は新潟県になります」

「はあー。そうなんですか!」
異国の方に、日本社会の仕組み教えていただき勉強になりました。

ぱっとみたところ、山奥に静謐な水をたたえた聖域のような野尻湖。
自然豊かな黒姫山を望むこのロケーションの素晴らしさ。
一方で、この湖は水の利権のかたまりであるとのこと。

日本の歴史も自然も、外国の方のほうがよく勉強していました。



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