残念ではございますが...

BBCではデビッド・ボウイが...

今日は、卒研ゼミで中間発表の練習会。
ある学生さんに、エントリー先の企業から「お祈りメール」がとどいた。ゼミ中に来るなんてタイミングが良すぎる。でもまあ、めげないで頑張ろうね。

ここ数年の就職活動というのは、とにかく過酷です。みんなが一線にならんで、まるで大学受験の延長のように繰り広げられる、まさに「戦線」の様相。なにかもう少し、人間的で穏やかな斡旋方式とか、昔の「口入れ屋」的な紹介方法はないのだろうかね?

人が人を選ぶ。人に人が選ばれる。
難しいことです。

今月のUCカード広報誌「てんとうむし」に掲載されていた、高橋源一郎さんの「不採用!」という文章が面白かった。いまや世の巨匠と言われる作家たちが、新人時代に「不採用!」となった記録について書かれていました。「まことに残念ですが」という本(☆1)になっているのだそうです。

マルセル・プルースト、H・G・ウェルズ、ガートルード・スタインハリー・クルーズ(ごめん、みんなは知らないけど…)などが、原稿を送りつけた編集者から、酷評つきで突っ返された実話が集められているのだそうだ。出版社から拒絶された「不採用通知」の山が1メートルを超えた人もいるんだって。

こんな記録が残っているなんてびっくりですね。当時はぜんぶ手紙だから、保存されていて不思議はない。しかし新人とはいえ、後の天才たちををこけ下ろしてしまった編集者。ちょっと可哀想。

以前このブログシリーズにも書きましたが、ロック・バンドだってそういうものらしい。デビッド・ボウイもレッド・ツェッペリンも、BBCのオーディションを落選。ビートルズですら、デッカではレコードを出してもらえなかった。ビートルズを拾ったのは、当時はコメディ路線だったパーロフォン。

こんな天才たちを「落選」させた試験官たち。あとになって落ち込んだり悔しがったりしたのかな。いや、もしかして自分の落ち度にも気づいていないのかもしれない。

それに、彼らのことを「先見性の無かった面接官」なんて批判はできない。採用担当が、私のような凡人ならば、将来の逸材を見抜くことなんてできなくて当然だ。特に天才的な人については、ほぼ絶望的にわからないだろう。

将来の天才が、現在の凡人に否定されたって、何も悲嘆することはないんですよ。
若者たちよ。何回でも挑戦しよう。自分を信じるのだ。君は天才かもしれない。

こういうことを、現役学生に言ったら、絶対に誤解するかな。
うまく伝えるには、どう話したらいいのだろうか…

時間も余裕もなく走り回っているし…あの、そこの学生さん…

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☆1:残念ながら、この本稀少のようです。


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