内側を見る




人類が星図を作りはじめたのは太古の昔のこと。自分たちが住む地上の地図を完成させるよりも早く、天空の地図を完成させていた。

思えばそれは当たり前のことかもしれない。天空を見上げて観察するほうが、地上を探索するよりもずっと簡単だからだ。星たちの運行については正確な知識を持ちながら、自分たちの足元にある地球についてはあまり知らなかった。


SNSやメディアを使って、他人の行動を観察し人々の発言にチェックをいれる。これが私たちの日常。外側を見るのは内側を見るよりも簡単なことだ。他人を評価することは出来ても、自分自身については知らない。自分が誰でどこから何をしにやって来たのか、肝心なことがいまだに分かっていない。意外とそんな毎日である。


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こんなことを考えつつトイレのカレンダーを見ると、そこにはこんな言葉が。 

われを知らずして外を知るということあるべからず
吉田兼好





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