働かないアリ



アリの世界にも、一定数の「働かない」アリがいるそうだ。

10,000匹のアリが住むコロニーでは、約3,000匹が巣穴から地表に出てきて仕事をしている。食料を集めたり、巣穴を修理したり、他のコロニーのアリを威嚇したりして働く。そして、ほとんどは数週間で死んでしまうという。

その間、巣の奥の方には、7,000匹のアリたちが、幼虫の面倒を見たり、連携作業で食料を運んだりしている。しかし、どう考えても巣穴の中の労働力に、7,000匹は必要ないので、おそらく1,000匹くらいは、ほとんど「働いていない」と考えられている。

それでは彼ら「働かない」アリたちは、何のためにいるのか。いつか、巣穴が崩壊するなどの「一大事」が起こった時に、大活躍するのかもしれない。しかし「一大事」などに遭遇せず、一生の間ぶらぶらするだけで終わるアリも相当数いるという。


長い長い進化の過程で、種族を維持していくためには、こうした「働かない」アリも決して無駄ではない。きっと何万年かに一度くらいの大異変に備えているのであろう。( ☆1 )

人間という種属においても、おそらく同じ理屈が通用するだろう。だとすれば、私もこのダメ人間のままで、OKなのかもしれない。

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☆1:「アリはなぜ、ちゃんと働くのか」 デボラ・ゴードン  p.56


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