楽しきと思うのが



うちのトイレにかかっている「べんぞうさまカレンダー」には、毎週ひとつだれかの金言が載せられています。それを見るのが楽しみですが、ときどき「おやっ?」と思うことがあります。例えば、寛政の改革で有名な松平定信の言葉。

 楽しきと思うのが
 楽きの基なり

 松平定信

こんなのは、ちょっと意表をつかれた気がします。腐敗した賄賂政治を立て直した堅物政治家かと思いきや、粋な言葉を残されたものです。なにごとも楽しんでやらなければいけない。そうですよね、むしろ、こういう考え方ができたからこそ、天明の大飢饉から藩政を立て直す難事業をやりとげられたのですね。

一方で、先週のNHKラジオ講座では、こんな言葉が紹介されていました。「ピーターパン」の原作者でもある、J.M.バリイ 氏が残された言葉です。

 できれば何かほかのことをしたいと思わない仕事は、本当の仕事ではない。

 Nothing is really work unless you would rather be doing something else.
 James Matthew Barrie


「家に帰って寝てたほうがまし」とか「こんなの早く終わってゲームしたい」とか思うくらい大変でないと、それは本物の仕事ではない。仕事はツラくて当然ということですね。現代にも通じるポイントを押さえた、いい言葉ですね。

でも、このふたつの金言格言を並べてみると、おたがいに矛盾して聞こえます。はたして仕事というものは、楽しいものなのか? 辛いものなのか? わからなくなってきたので、無作法ながら、ふたつの言葉を足し算してみますね。

 本当の仕事というものは「早く終わって別のことしたい」と思うほどツラい。
 しかし、それでもそれを楽しんでやることが大事である。

あら?
なんだか自虐的な話になってしまいました。これではまるで企業戦士向けの標語ですね。
失礼いたしました。この問題はまだまだ考え続けなければならないようです。



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