GDEX09 美大の出展

今年のグッドデザイン・エキスポでは「デザイン・コミュニケーション」という企画提案型の展示会場において、6つの美術系大学の展示が行われていた。参加大学・学科は以下のとおり。それぞのブースを巡って、今年の展示の特徴を見てみた。

大阪芸術大学・デザイン学科 / 京都精華大学 / 多摩美術大学 / 東北芸術工科大学 デザイン工学部・プロダクトデザイン学科 / 日本大学藝術学部 / 武蔵野美術大学



まず開場の左端にあったのは、多摩美術大学。アクリルを主体とした展示は、ややイメージ優先の印象があって、ちょっと内容がわかりにくいように感じた。しかし展示の奥のほうに設けられた「産学共同研究」のコーナーの充実ぶりは圧倒的。
各種テーマで、様々な企業との間での共同研究の成果があり、それらのひとつひとつが立派な印刷の報告書になって積まれていた。前回は閲覧のみの展示だったが、今年は無償での配布もあり、思わず沢山いただいてくることになった。入り口付近で、学生さんが手に提げているのは、パンフレットの入った手提げ袋。昨年同様、ホスピタリティもばっちりの多摩美ブースだった。


その隣は、関西からの出展、京都精華大学。京都精華といえば、マンガ学部が有名だ。しかし今回の展示では、どちらかというと京都ならではの「伝統的な手仕事」を全面に出していた。美術大学の募集競争の中で、芸術文化の街・京都という立地を強調する作戦のようだった。なぜか、唯一撮影禁止となっていたのが疑問だった。


喜多俊之先生がデザイン学科長を務める、大阪芸術大学ブース。並んだ作品は、往年のシド・ミード作品を思わせるような曲線の美しい、正当派プロダクトが多かった。未来的なような、なつかしいような印象である。伝統的なインダストリアル・デザイン手法を守っているように思える。大阪芸術大学には、映像系コースも新設になったはずだが、特に展示はなかったようだ。




こちらも、流線型の未来型デザインの展示が多かった。



昨年は展示が見られなかった、日藝デザイン。展示ブース外見も非常に力の入ったもので、その意気込みを感じさせた。日藝には映画学科などの、映像関連の学科もあり、CGアニメ映像の展示もあった。プロダクトデザインと映像表現の連動というものは特に無かったが、これからはネットや映像と、工業製品の結びつきをテーマとすべきではないかというアイデアを思い出した。



東北は山形から出品の東北芸術工科大学。展示ブースそのものは、シンプルでオープンなものだったが、展示されている作品は、レベルの高い者が多かった。金属を使ったモックアップなどの完成度も高い。エンジン技術を活用した、浄水装置など、デザイン的な発想による技術の応用に力を入れているのが分かる。表面的な「装飾」から、一歩踏み込んだ研究が行われていることを感じた。東北芸術工科大学にも映像コースが新設されている!


各ブースともに、展示空間の素晴らしさもさることながら、配布されている学校案内や、作品集などの印刷物の懲りようには驚いた。昨年も素晴らしかったのがだが、今年はさらにグレードアップしているように感じる。やはり、美術大学といえども、少子化の流れの中で、学生確保のために、学校も学生も一体となって取り組んでいるということだろうか?

昨年のグッドデザイン・エキスポでは、確か8つの美術大学の出展があったように記憶している。千葉大学デザイン学科や、金沢美術工芸大学京都工芸繊維大学なども、出展していたのではなかったか。やはり、毎年の出展は、経済的にも労力的にもきついのかもしれない。(参考資料:千葉大学「意匠展」)



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