アリの行軍

アリの集団は、一個の個体はそれほど賢くなくて、その行動も単純なものだとしても、集団全体としては、恐ろしいほど複雑で高度な社会的行動を実現すると書いた。それは事実である。しかし、その逆にアリの集団全体が、アホらしい自滅的行動に追い込まれるケースについての記述を見つけたので採録させていただく。ジェームズ・スロウィッキー著/小高尚子訳「みんなの意見は案外正しい( The Wisdom of Crowds )」より。P.59
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二十世紀初頭、アメリカの生物学者ウィリアム・ビーブは、ガイアナのジャングルで奇妙な光景に出くわした。それは巨大な環状に動く兵隊アリの大群だった。アリ一匹が一周するのに二時間半かかる円周が360メートルはあろうかという環で、アリは二日間にわたってぐるぐるぐるぐる回り続け、最後には大半が死んでしまった。
ビーブが目撃したのは、兵隊アリが自分のコロニーに戻れなくなった状態である。兵隊アリは一度迷うと、自分の前のアリに続くという単純なルールに従う。その結果生まれた環は、たまたま何匹か違う方向に逸れて、ほかのアリもそれに続いた場合にしか終わらない。

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