天才の休暇

生涯休暇人? チャールズ・ダーウィン

前回、本ブログにて「遅咲きの花」について考えたみた。植物ですらひとつの花を咲かせるのに40年かけることがある。だったら人生で花を咲かせるのに、どんなに時間がかかってもいいじゃないか。と、楽観的な結論でまとめてみた。

翌朝になって再びPCに向かい、ふと足下を見ると一冊の本が目に入った。そのタイトルは「天才の時間」で、私が大好きな竹内薫さんの著書だ。身近な場所(机の下あたり)に放置されていたということは、私が結構気に入った(感動した)本だったという証拠。そうでなければ本棚のどこかに、押し込まれていた。「いつかまた読みたい」と思っていたからそこにあったのだ。

この本には「人生にとても時間をかけた人」たちの成功物語が、たくさん紹介されているんだった。なんだか「遅咲きの花」というテーマにぴったりな感じがする。久しぶりに手に取ってページを開いてみる。うんうん、そうそう。「時間がかかる」話が沢山載っているんだっけ、この本には。

そして、とびこんできたのが「生涯休暇人」の文字。

「 生・涯・休・暇・人 」つまり、人生ずっと休みだった人ってだれ?

それは、チャールズ・ダーウィンさん。日曜の晩のNHK、大河ドラマ直前の科学番組枠のタイトル「ダーウィンがキタ~!」にも紹介されている人気者。この人「生涯休暇人」だったんだ。まあ、お金持ちだからできたことでもあるんだけど。とにかく、研究に時間をかけた。

ダーウィンは進化論をはじめて唱えた人。進化論とは「人間は神様が設計したものではないんだ」っていう理論ですね。ある環境が整った地球上に、原始的な植物が生まれる。そしてそれが、ミドリムシとなりオタマジャクシとなり、トカゲがネズミになって、それからサルとなり、チンパンジーが立ち上がって… ものすごく長い長い時間をかけて、変化して出来上がったんだよ、というのが「進化論」ですね。(いまの話はだいだいしか合ってませんよ)

ダーウィンがこの理論をまとめて「種の起原」を出版したのは、1859年のこと。そのころのイギリスでは、当然キリスト協会の力も強くて、「人間は神様が作ったものじゃない」なんて、とても言える雰囲気じゃなかったんだ。神様に対して言いたい放題だった、ジョン・レノンも、ビートルズメンバーもまだ生まれていなかったしね。だから、ダーウィンさんは、この理論を発表すべきかどうか、20年近くも悩みに悩んで「進化論」について考え続けたんだ。

誰だって、自分では正しいと思っていても、それを言って「お前バカかよ」って罵倒されたくはないものだ。確信はあるんが、こんなこと言ったらバカ扱いされちゃうだろう。そんな時って誰でにだってありますよね。ダーウィンさんの時代では、バカ扱いどころか、火あぶりの刑にされちゃう。でも、そのおかげでダーウィンの「進化論」は、20年もの時をかけて、みがきにみがかれいった。そしてその理論は、どんどん完成度を高めていった。

そうこうしているうちに、ついに後輩のアルフレッド・ウォーレスが、独自の研究を通じて、ダーウィンと同様の「進化論」を発見してしまう。そうと知って、ダーウィンは初めて焦りだし「種の起源」をしぶしぶ出版。このようにして「進化論」は世に出ることになった。それまでのあいだ「進化論」は、長い時間をかけてまさに「進化」し続けたんだ。

ほらね。おおきな業績をあげるには時間がかかっていいんですよ。あまり先を急がずに、ゆっくりと時間をかけて、すきなことに没頭しましょう。

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