本当のことは歌えない

「アイルランドに平和を」という曲をご存知ですか?ポール・マッカートニー&ウィングスが1972年に発表したシングルです。当時の日本のヒット・チャートでも一位となりましたが、あっと言う間にBBCや各メディアで「放送禁止」となってしまいました。

実にポールらしい、美しいメロディとポップなサウンドの楽しげな曲。当時は無邪気な中学生だった僕は、「なんで放送禁止なの?」って不思議に思ったものだ。その後いつの間にかレコードでも聴けなくなって、iTunesで検索しても見当たらないので、もう二度と聴けないのかと残念に思っていた。

ところが先日、NHK時代の旧友から、ポール・マッカートニー・コレクションシリーズ」のCD『ワイルド・ライフ』に、ボーナストラックとして収録されている! ということを教えてもらい、無事に「20年ぶりくらいの再会」をはたしました。うれしかったー!そして感動。

このヒット曲について、皮肉屋のジョンは「歌詞が幼過ぎる」とコメントしたそうだが、いやいや、本当はその「幼さとシンプルさ」こそ素晴らしい。ジョンだって本当は、分かっていてコメントしたのに違いない。

血の日曜日という悲惨な事件を知って衝撃を受けたポールの渾身の作品。特にメロディーと歌詞が一体となって盛り上がっていくところがすごい。シンプルで幼い歌詞だからからこそ、ポールの本当の真心を感じることが出来る。感動的なプロテストソングだ。

僕たちが出来ることは、シンプルな心で純真に歌うしかないんじゃないのかな。本当に本当のことを。忌野清志郎さんがもし生きていてくれたら、いまどんな歌を作ってくれただろうか。ぜひストレートでワイルドな歌詞で歌ってほしかったな。

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