何度でもやってみたら


一花咲かせる、という表現がある。

ところがこの花、カンナは、一花ところか何十個もの花を咲かせる。近所のお宅の玄関先で夏前から秋までの間、ずっと花をつけている。よくよく見ると、花のつぼみが、機関銃のように並んでいて、順番でどんどん咲いていく。咲いた花はしばらくすると枯れていく。枯れたあとには、新しい花が咲く。

何度でも何度でも、チャレンジする人のように見えた。進化論的な話で、自分の子孫を次代に残すため、生物はさまざまな手段を用いる。大きな一つの花で、確実に実をつける花もあれば、このカンナのように、何度でもやってみるという手法もあるのだ。次から次から花をつける。

今年の長い長い夏の間、僕はこの花を観察していて思った。なかなかやるな、と。つぎからつぎからやってみて、どれかひとつ上手くいけばいい。そんな戦略に感心した。

一花咲かせるとは、人生の中のひととき、はなやかに栄える時期を迎えるという意味だそうだ。真面目気質の日本人にとって、出世したり成功したりする栄光の時を迎えること。誰もが、一花咲かせたい。

どこかでの調査によると、現代の日本人は、自分自身のことをあまり幸せだと思っていないようだ。他の国から見たら、経済的成長を遂げ、世界でトップクラスの豊かな生活を享受する日本人。それでも自分を幸せとは思えない。自分を成功したと思えない。

それはおそらく、あるひとつの価値観で判断しているからではないだろうか。カンナのように、何度でも挑戦してみる。何度でも違う価値観でやってみる。そんなことをやっているうちに、いつか満足するに足る自分というものがみつかるのではないだろうか。

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イラスト:近所のカンナ

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