宇宙人型ヒーロー

「命も要らず、官位も金も望まぬ者ほど御しがたき者なし。しかれども、この御しがたき者にあらざれば天下の大計はかるべからず」

明治維新の立役者、西郷隆盛の遺訓。6月2日(例のオヤユビポーズの掲載された日)の日経新聞・春秋欄に、鳩山首相の座右の銘として紹介されている。この朝刊が、新聞社の輪転機からはき出されていた頃には、鳩山首相は自らの辞任を心に決めていた。それなのに、全国紙5紙ともに、見事に「オヤユビポーズ」にダマされて「首相続投へ協議継続」とヘッドラインを打ったあの朝。その日に掲載されたところが、まことに味わい深いのだ。やったね鳩山さん。

薩摩の下級武士出身でありながら、名君島津斉彬の抜擢を受けて、一躍明治維新の中心人物となった西郷隆盛。一方の幕府方代表を務めた勝海舟とともに、江戸城無血開城を果たしたのは、こうした「無私」の心を持つ英傑だったことが大きい。勝海舟は、その回顧録でしきりに西郷夭折を悼み、彼の志の大きさ、無欲のこころの美しさを讃え「南州(西郷の号)ほどの人物はいない」と嘆く。もともと「死して美田を残さず」という気風に満ちた、薩摩の出身とはいえ、西郷という人物は、それほど気高く巨大であったという。

この世における「名声」「地位」「金」と無縁で、ただひたすら国家に遣える西郷の姿は、現代人の価値観からいうと、まるで宇宙人。「一体何を考えているのかこのひとは」と理解されないだろう。「それなら、なんで政治家になんかなるのか」といぶかしがるだろう。現代における宇宙人代表の鳩山由紀夫氏が、敬愛するのも当然だ。

さて、冒頭の言葉だが、これは実は「闘う者の極意」でもある。剣術の世界でも「闘う意志の全く無い者」ほど、戦いにくい相手は無いそうだ。宇宙人のように、究極の傍観者を決め込んだ政治家ほど、強力な政治家はないってことか。そういう意味では、鳩山さんはいい線いっていたのかもしれないなぁ。しかし、鳩山さんもいったん退場。まあ、そんなに落胆する必要はないですよね。あれだけの大人物であった西郷隆盛でも、結局は明治政権が樹立された後は、不遇となり中央政権から離脱してして、死地へと向かったのですから。

鳩山由紀夫氏が、ほんとうに宇宙から地球を救いに来たヒーローだったとしら、これはSF映画のシナリオになります。うんうん。こんな感じで?

地球上のあまりのごたごたを見かねたハトヤーマン。ついに意を決してトラブルのまっただ中に着陸します。そして最初は「友愛」と「滅私奉公」を掲げて地球市民の前に姿を現す。支持率90%のヒーロー誕生だ。しかし、いつか地球の住民たちは、さらに欲深く傲慢となって、だんだん、優しいばかりのハトヤーマンのことを疎んじていく。地球人の心は汚れ、結局トラブルは増大するばかり。ハトヤーマンの美しい言葉を聞く耳を持たなくなった人間は、口汚くののしります。「お前は宇宙人だ」。ハトヤーマンはお別れの言葉を残して宇宙へと帰っていくのでした。ぱちぱちぱち。

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