マニュアル化できない

ポルトガルの麦畑と農場

北海道十勝にある「共働学舎新得農場」は障害者の自立支援のための農場だ。チーズ作りは、本場のフランス仕込み。仏AOCチーズ協会のユベール会長自身が、この農場を経営する宮嶋望さんの考えに共感して教えてくれた。いまでは、チーズ作りの国際コンクールでグランプリを獲得するほどになったという。(☆1)

チーズを育てる菌の働きはその日の天候で違う。経験で培った勘がすべて。このように、簡単にはマニュアル化できない知恵が、本物のチーズ作りを支えているのだろう。あらゆる食品の生産や農作物の育成には、経験から自分で学び取るしかない知恵が必要。これは、ものづくりのすべての現場や、人間が働く社会のどこにでもあてはまることだ。

マニュアル化できない知恵。

昨年秋、中央教育審議会は、大学入試改革の答申案を示した。それは、日本の高等教育における価値観の大転換を要求するものである。「1点刻みのペーパーテストで問う評価」や「画一化された条件で、数値で結果を出せる問題の点数」などで学生を選抜することをやめるという。

「覚える」から「考える」へ。

答申によると、2020年には「生きる力をみる入試」を実施していくということだ。現在の受験システムでは、高校の3年間は「点数による選別への準備」だけになりがち。そこに人間的な経験や、人生について自分で考えるなどするとしたら、これほど素晴らしいことはない。

でも、今の日本の教育で出来るのだろうか。
また、どのように進めるべきなのだろうか?

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☆1:2014年11月29日(土)朝日新聞 be 「世界が認める和のチーズ」より



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