ハスの花
知り合いの外国人が日本に来たときは、できるだけお寺を案内することにしている。仏教的な考え方を知ることが、日本人の世界観を理解するのに早道だと思うから。
特に、お寺の庭に見られる、ハスやスイレンの花は、汚れた現生での生活と仏教の精神世界の関係を例えるのにぴったりである。「これが仏教のシンボルだ」というと外国人の彼らも、物知り顔に頷いてくれる。
ドブに落ちても 根のある奴は
いつかは 蓮の花と咲く
意地は張っても心の中じゃ
泣いているんだ兄さんは
「男はつらいよ」シリーズ主題歌。どんなに頑張っても世間並みの人間になれない寅次郎の悔しさが滲みでる名曲(☆1)。教育がないために損ばかりしているけれども、ただただ他人のために奔走する。良かれと思ってやったことが裏目にでる。そんな寅次郎はドブに咲くハスの花。実は仏様の化身なのかもしれない。
試みに、今どきの学生さんたちに「男はつらいよ」の世界について説明してみる。しかし残念なことに、まずまともな反応は帰ってこない。ネットフリックスでも全シリーズの視聴が可能だというのに。去る者日々に疎し。じつにもったいない話だ。
☆1:男はつらいよ
作詞:星野哲郎、作曲:山本直純
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水彩画はバンコクのお寺で見たスイレンの花