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9月 6, 2009の投稿を表示しています

見つめる

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「蛇ににらまれた蛙」というが、誰もが、ふと気「誰かに見られている」と感じた経験があるはずだ。程度の差はあれ「他人の視線が気になる」という感覚は、むしろ人間にとって日常的な感覚としてあると思う。人間だけではなく、この世界を動き回って活動「動物」すべてが、この「誰かに見られている」という感覚に動かされて行動しているという。

サイモン・イングス氏は、近著「見る」の中で、こう指摘している。以下のような、わたしたちの言葉のさりげない表現が、眼の社会的重要性を物語っていると。

「彼の視線でわたしは溶けた」
「彼らの視線はナイフのように私の胸に突き刺さった」
「彼女は例の目つきでわたしを見た」

「見る」(P.231)

集団生活を送る動物は、それが鳥であれネズミであれ、何らかの形で「序列」を決めている。それはたいがいは、日常的な力比べ(食べ物の取り合い、寝心地の良い寝床の争い、配偶者の奪い合いなど)という形で現れる。人間社会も、典型的な集団社会であり、そこでの生活は「序列」による秩序が重要なキーとなる。集団の構成メンバーは、誰もが誰に対しても正しくふるまわらなければならない。そして、人間など霊長類の場合、そのコミュニケーションにおいてきわめて重要な役割を果たすのが「眼」である。かくして、人間はきわめて正確かつ敏速に「眼」の表情を読み取ることができるようになった。

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イングス氏は、1879年にカナダの無神論者グラント・アレンが生態学につて書いた以下の文章を引用している。視覚の出現が、自然界の多様性の引き金になったということを、非常に良く説明しているから。

昆虫が花を生み出す。花が昆虫の色彩感覚を生み出す。
色彩感覚が色に対する好みを生み出す。
色に対する好みが、コガネムシや輝くチョウを生み出す。

小鳥と哺乳類が果実を生み出す。
果実が小鳥や哺乳類の色の好みを生み出す。
色に対する好みがハチドリやオウムやサルの体色を生み出す。

果実食の人間の祖先にも同じ好みが生まれる。
その好みが結果として、さまざまな色彩アートを生み出す。

「見る」(P.163)
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進化論にもとづいて考えれば、私たち人間や動物の行っていることは、すべて「種」の生存競争、生き残りの闘いである。グラント・アレン流に言えば、色彩によるアートを…

花が見ている

なるほど。人が寄りつかなくなった公園や空き地は、いつか、ゴミが散乱する不法投棄の場となり、不審者が潜む危険地帯となり、それによって近隣には空き巣や傷害事件などの犯罪が頻発する。かつて、そのような危険地域となってしまった、宮崎県祇園4丁目の住宅街からのレポートだ。 日経新聞 9/7夕刊
2004年から、この地域に引っ越してきたOさんは、散乱するゴミを見かねて、雑草を刈り始めた。さらに「花を咲かせれば、ゴミも消え、不審者も寄りつかなくなるのでは」とと考えて、所有者の市から許可を取り、公園作りを始めたという。子どもたちが「怖いから通らない」といっていた敷地は、小学生の待ち合わせの場所となったという。花を育てることで、多くの人の「目を集めることができる」だけでなく、実際に近隣の住民が、花の手入れのために出る機会も増える。人の目があり、人の行き来があるということが、基本的な犯罪抑止につながるということだ。「花が見張っている」とは、これまで気づかなかった。監視カメラよりもよほど効果があるのかもしれない。 ____________________
ドロボウですら、こうして「花を見に来る人の視線」を気にするのだ。一般人にとってもやはり「他人の視線」は気になるもの。最近、大学での授業で学生はなかなか質問をしない。これは偏差値などにかかわらず、日本全国共通の現象のようだ。せっかく授業料をはらっているのだから、少しでも多く質問でもして「割り勘負けしないように」授業の時間を独占すればいいのに、などという考えはまるで無い。むしろ、他人の時間を邪魔しないように気をつかっているようにも思える。
実際に「質問して聴きたいことが無い」ということではないようだ。それが証拠に「それでは質問も無いようなので、これで授業は終わります」と言うと、今度は教壇に寄ってきて質問をする学生が必ずいる。また、メールやメッセといった、非対面式のコミュニケーションでは、人が変わったようにドハデな会話をする。要するに「他人の前では」質問したくないだけなのだ。まわりの人間から「あんな質問するなんて」などと誹りを受けることをおそれているだけなのだろう。その気持ちも分からないでもないが、他人の視線を必要以上に意識しているのではないか。
これは、近年の若者の間だけでなく、一般的な風潮として存在する現象のようだ。「ある特定集団の中ではおとなしく…

グラフェン

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未来を開く材料「グラフェン」 炭素原子が六角形の「ハチの巣」のように広がった平面状の材料である。電子を流しやすく、大電流にも耐える。さらに高強度であるなどの特徴があり、今後様々な分野での電気製品への活用が見込まれる。日本も世界におくれまじと各企業での開発参加のかけ声が。
オバマ大統領、異例の議会演説 9日からの米議会冒頭で、オバマ大統領は異例とも言える議会演説を行う。今期の議会で最大のテーマとなる「医療保険改革法案」成立へのなみなみならぬ決意の表れ。
中小企業の広告はネットへ流れる 米調査会社「ケルジー・グループ」によれば、2009年8月の、アメリカにおける中小企業の、ネット広告利用が、既存メディアの利用を上回った。不況下での宣伝広告費の切り詰めの影響か?あるいは本格的なネット広告の時代到来か。
パナソニック王者に 調査「働きやすい会社2009」において、パナソニックが総合1位。2位は凸版印刷。調査項目は以下の4点。「社員の意欲を向上させる精度」「人材の採用、育成と評価」「働く側に配慮があるか」「子育てに配慮があるか」


2009年9月7日(月)日経新聞朝刊より

サビルロウ

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世界不況にも踏ん張るロンドンの老舗
ロンドンの老舗テーラー街「サビルロウ(savile row)」は、高級洋装品というこの世界不況下では、苦戦が当然の業種にもかかわらず、売り上げを堅持する踏ん張りを見せる。この商店街にある「ギープス&ホークス Gieves & Hakes」などの著名店の店主たちが、世界各地での展示会などでの積極的な受注活動を展開。20世紀の世界恐慌でも負けなかった、伝統のテーラー街の意地を見せる。(ちなみに、この街の名前サビルロウは、日本語の「背広」の語源とのこと)


2009年9月6日(日) 日経新聞朝刊より

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