安全運転
盛大に黄色く染まったイチョウ並木。出張先の札幌で、空き時間に北大のキャンパスを歩いた。土曜日なので、明らかに学生ではない(観光客)みなんさんが、思い思いにカメラを構えていた。
北大の前身である、札幌農学校の基礎を作ったクラーク博士。いつかクラーク先生の胸像にお目にかかりたいと思っていたが、ついにそれが今日かなった。感激。それに、この胸像のあるあたりの環境がすばらしいサクシュコトニ川が流れる広場がバックにあって、博士の遠大なる理想の大きさを語っているようだ。ボーイズ・ビー・アンビシャス。クラーク博士が日本の若者に残した言葉。ボーイズ・ビー・アンビシャス。少年よ大志を抱け。
ところでこの言葉、いまの学生諸君はどう受け取っているのか。
「ハイ・リスク・ハイ・リターン」という言葉があるけれども、この「ハイ・リターン」があるこその「大志」だったのかもしれない。現代のように、「ロー・リターン」しか期待できない、低カロリー社会では、若者のねらうのは「ロー・リスク」ばかり。リスクを冒して大冒険に挑戦しようなどとは思わない。野田政権ではないけれども、若者はみな安全運転で走っている。偉くなって故郷に錦を飾るとか、海外へ進出しようとか、そういう面倒なことは考えないんだよな。
安全運転。どこかの総理大臣みたいだな。
安全運転である以上、リスクは冒さない。リスクを冒さない以上、予想以上の成果は上がらない。驚くようなストーリー展開はない。標準的な当たり前の人生。それが、今の学生たちの理想の人生のようだ。「貧しきを憂わず、等しからざるを憂う」。農耕民族である日本人は、もともと集団意識が高くて「右へ習え」が基本。だからこそ、単一民族の平和な社会を続けることができる。でも、新奇の気風や、創業者意識、フロンティア精神、こういう意識は消えてしまったのだろうか。
マサチューセッツ農学校の職を辞して日本にやって来たクラーク博士。たった9ヶ月で、この地に生きる若者たちに、熱い開拓者の血を植え付けてくれた。そしてその志は、日本全国の若者に伝搬した。昨年、ノーベル化学賞を受賞した、鈴木章先生(北大名誉教授)の体にも、この血が流れていたのだと思う。
クラーク博士はアメリカに戻ってからも、いろいろな新事業に挑戦を続けた。なんでも「洋上大学」というものを作ろうとしたとか。最後に作った鉱山の会社はついに倒産。失意の晩年を送って亡くなったそうだ。しかし、彼は生涯チャレンジャーだった。
いまもこうして、北海道大学の若者たちを見つめるクラーク先生。何をお考えだろうか。
北大の前身である、札幌農学校の基礎を作ったクラーク博士。いつかクラーク先生の胸像にお目にかかりたいと思っていたが、ついにそれが今日かなった。感激。それに、この胸像のあるあたりの環境がすばらしいサクシュコトニ川が流れる広場がバックにあって、博士の遠大なる理想の大きさを語っているようだ。ボーイズ・ビー・アンビシャス。クラーク博士が日本の若者に残した言葉。ボーイズ・ビー・アンビシャス。少年よ大志を抱け。
ところでこの言葉、いまの学生諸君はどう受け取っているのか。
「ハイ・リスク・ハイ・リターン」という言葉があるけれども、この「ハイ・リターン」があるこその「大志」だったのかもしれない。現代のように、「ロー・リターン」しか期待できない、低カロリー社会では、若者のねらうのは「ロー・リスク」ばかり。リスクを冒して大冒険に挑戦しようなどとは思わない。野田政権ではないけれども、若者はみな安全運転で走っている。偉くなって故郷に錦を飾るとか、海外へ進出しようとか、そういう面倒なことは考えないんだよな。
安全運転。どこかの総理大臣みたいだな。
安全運転である以上、リスクは冒さない。リスクを冒さない以上、予想以上の成果は上がらない。驚くようなストーリー展開はない。標準的な当たり前の人生。それが、今の学生たちの理想の人生のようだ。「貧しきを憂わず、等しからざるを憂う」。農耕民族である日本人は、もともと集団意識が高くて「右へ習え」が基本。だからこそ、単一民族の平和な社会を続けることができる。でも、新奇の気風や、創業者意識、フロンティア精神、こういう意識は消えてしまったのだろうか。
マサチューセッツ農学校の職を辞して日本にやって来たクラーク博士。たった9ヶ月で、この地に生きる若者たちに、熱い開拓者の血を植え付けてくれた。そしてその志は、日本全国の若者に伝搬した。昨年、ノーベル化学賞を受賞した、鈴木章先生(北大名誉教授)の体にも、この血が流れていたのだと思う。
クラーク先生の胸像の台座に刻まれた文字 |
クラーク博士はアメリカに戻ってからも、いろいろな新事業に挑戦を続けた。なんでも「洋上大学」というものを作ろうとしたとか。最後に作った鉱山の会社はついに倒産。失意の晩年を送って亡くなったそうだ。しかし、彼は生涯チャレンジャーだった。
いまもこうして、北海道大学の若者たちを見つめるクラーク先生。何をお考えだろうか。