58年エンドマーク
あ、テレビが映らない |
とにかく1953年2月1日にはじまった、アナログ放送が、58年の時を経て幕を閉じるんですから。58年のジ・エンド。フジテレビは、中居正弘とナインティナインによる、27時間番組をかまえて祝賀ムードを盛り上げると聞いてます。(☆1)
でも、だいじょうぶかな〜。この番組を見ている途中で、アナログ放送波が止まるわけですが、アナログ放送そのものを見ている人にとっては、途中ですべてが消えてしまうんですよね。残るのは吹き荒れる砂嵐。直前に大きくエンドマークの「終」を出してほしいな。主役を降り、ついに引退するアナログ放送への思いを込めて。
ご存知ですか?いまも「街頭テレビ」が現役活躍中という話。
先月大阪に出張したおりに、地元の新聞記事で知ったのです。(☆2)大阪市西成区の「あいりん地区(釜ヶ崎)」の中心部に「萩之茶屋南公園(通称三角公園)」という公園がある。ここには、高さ2.1メートルの鉄製支柱の上に、観音開きの鉄箱にはいった「街頭テレビ」があるんですって。設置されたのは、東京五輪直前の1964年9月のこと。「労働者の娯楽と民心の安定」のために設置されたと言い伝えられているそうです。
この「街頭テレビ」は、過去に5回リニューアルされおり、月500円程度の電気代も、NHK受信料もなぜか、ずっと大阪府警が負担しているという。今では、その経緯を詳しく知る人はいないというが、おそらくは地元の労働者の娯楽のために、大阪府警が「ひとはだ脱いだ」ものだろう。
大阪府警の粋な計らいだ。当時の労働者の多くは、簡易宿泊所での寝泊まりや路上生活を強いられていた。かつて大阪府警西成署には「遠山金四郎」のような名奉行の署長さんがいたのだろう。
いまでは生活保護を受給するようになり、テレビのない生活からは脱したが、今も人とのふれあいを求めて集まって来る。プロ野球阪神戦の中継のときには、いまでも50人近くが集まって観戦しているそうだ。
7月24日には、このテレビも砂嵐しか映さなくなる。現在のところ、この「街頭テレビ」を残す方策は見つかっていない。大阪府警が、公費でチューナーを買うわけにはいかないからだ。ここはひとつ、NHKさんが寄付してはいかがでしょうかね。58年間の日頃のご愛顧にこたえてね。
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☆1「FNS27時間テレビ2011・笑顔になれなきゃテレビじゃない / めちゃ2 デジってる」
☆2:毎日新聞朝刊・2011年6月5日(日)14版 社会面