どこにでもいる
どこにでもあるカップ |
JR東日本トレインチャンネルのCM映像「New Unit PROMISE デビュー・プロジェクト(どこでも返せる篇)」の落ちが大好きです。
テレビ局オーディションに売り込みにいったギター男二人組。事務所社長(谷原章介)「千年に一度の逸材」という売り文句も虚しく、TVプロデューサー風の男から「こんなのどこにでもいるでしょ」と一蹴される。
「ん?」ここからの社長のリアクションがいいですね。侮辱されて色めき立つバンドメンバーとマネージャーを制して「どこでもとは凄いじゃないか!」とあくまでポジティブ満載なオーラを発散させる。こんなふうに、むりやりにでも物事を明るく考えてくれるCMは嬉しい。起承転結の結がねじれているけど、それがまた可笑しい。いつでもどこでも、お金が借りられるのもいいけど、いつでもどこでもポジティブで前向きというのがありがたい。当のバンドメンバー、柄本時生と勝地涼も、わけもわからず肩を組んで笑っているではないか。
若者というのはいつも「オンリー・ワン」であったり「たったひとつの個性」であったりすることを求められているので、「君みたいのは、どこにでもいるでしょ」とか「君の代わりは沢山いるよ」と言われるのはつらいこと。受験や就活を通して、自分がいかにユニークかつ優秀かを証明しつづけなければならない。彼らにはなんと辛いことか。
彼らの「個性」は、まだ彼らの内部で静かに眠っているだけかもしれない。同じような価値観を与えられ、同じような教育を受けてきた彼らが、表面的に似たようなベールをまとっているのは、ある程度仕方がない。小さなころにはあった個性を、隠されてしまっただけかもしれない。
うちの大学の4年生もこれから社会に出ていく。とりあえず「どこにでもいる」っていうのもいいのではないですか。とりあえず普通の平均値からはじまっても、いつか社会でもまれていくうちに、たったひとつの自分が輝きだすのではないですか。
うちの大学の4年生もこれから社会に出ていく。とりあえず「どこにでもいる」っていうのもいいのではないですか。とりあえず普通の平均値からはじまっても、いつか社会でもまれていくうちに、たったひとつの自分が輝きだすのではないですか。