キャラクターになる


僕たちは自分の人生で、どれだけの「キャラクター」を演じるのか。

社会的に「先生」と呼ばれる医者や弁護士の先生だって、それを演じ続けるのは大儀なこと。時には自由な自然児に戻ったり、中学生のような郷愁に浸りたくもなるだろう。会社の社長だってそうだ。時には「世捨て人」となって放浪してみたくなったりするのではないだろうか。一国の総理大臣だって...時には?

一方で、世界的に有名にな「キャラクター」を、長く演じる人もいる。

キャロル・スピニーという方(☆1)は、46年間もの間、セサミ・ストリートのビッグバードを演じ続けてきた。今年なんと81歳。これまで、マイケル・ジャクソン、ジョニー・キャッシュ、ミシェル・オバマ米大統領夫人などと競演してきたが、まだまだ意気軒昂。身長2メートル50センチの巨大なカナリアのキャラクターは、いまやファンタジーを超えた存在(設定はなんと6歳のまま?)として、世界中の子どもたちの「実在の友達」となってしまったのだ。

「男はつらいよ」シリーズの車寅次郎を演じ続けた、渥美清。ウルトラマンシリーズで、ウルトラマンを演じた古谷敏。同シリーズで科学特捜隊のハヤタを演じた黒部進。イデ隊員を演じた二瓶正也。(☆2)みな、どう思っていたのだろうか。

後日、彼らは口を揃えたように語っている。当時は、あくまで突然に自分に割当られた「役」に過ぎないと思っていた。だからそれをを演じていても、感じるのは違和感ばかり。「このままでいいのか?」という疑問を持ちつつ、ただただ演じていた。しかし、今となって振り返ると、その「キャラクター」を与えられたことに深く感謝せざるを得ないのだと。偶然に与えられた役割。それが彼らの人生を変えた。

いまもビッグバードを演じている、キャロル・スピニーもそうだ。それは、最初は誰かから与えられただけの仕事かもしれない。しかしそれが、自分から望んだ事でなかったにせよ、この世界で自分にしかできないある役割を与えられるということ。それは、ひとつのきっかけだし、自分の人生を変えてしまう奇跡なのだ。彼はいま、ビッグバードであることに感謝しながら演じている。

人からいただいた「キャラクター」になる。
それが天からの贈り物なのかもしれません。

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☆1:ビッグ・イッシュー vol.268 2015 Aug.1 号
スペシャルインタビュー「ビッグバード」より
ところで、この号の巻頭インタビュー「私の分岐点 / 笹野高史さん」も、とても面白かったですー!

☆2:朝日新聞連載「光の国から」シリーズより
2015年 6月6日 古谷敏 / 7月18日 黒部進 /8月4日 二瓶正也 /


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