養老先生のブルースカイ



朝日新聞の「人生の贈りもの・わたしの半生」は僕の大好きなコラム。いまは養老孟司先生が登場されていて、毎晩帰宅後に読むのが至福の数日であった。たくさんの名著を残し、本業の解剖学者としても趣味の昆虫学者としてもすばらしい先生の半世記を、こうした簡潔なインタビューで読めるのはうれしい。

昔NHKの番組取材で、東大の養老先生の研究室にお邪魔した。解剖学の研究室なので、物凄い標本類の数々が置かれていてビビったのを覚えている。僕なんぞ、取材チームの末席の初年兵に過ぎないのに、そんな僕のシロウト質問にも、先生はにこやかに丁寧に対応してくださった。あの時、瞬時に、穏やかで優しい養老先生のファンになった。

定年前の55歳で東大を辞めた日の朝、養老先生には「空が青くきれいに見えた」そうだ。勤め人としての責任から解き放たれて、本当の感性が解放されたのだ。養老先生いわく、人は外部からのイメージに合わせようとして生きている間は、青空を美しいと感じる余裕もないということらしい。うーん、どうしよう。明日キャンパスで、空を見上げてみよっと。


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