どこ吹く風



大学同窓会の打ち合わせで田町まで出かけてみると、今日はこれまでになく涼しい日であることに気づいた。蒸し風呂のようだった湿気もなく、街を歩いていて気持ちが良い。

ということで、ちょっとだけ銀座に立ち寄ることにした。東銀座の地下道では書道展をやっていた。三歳の女の子の手による「くも」という文字がのびのびと浮かんでいて、清々しい気持ちになった。地下道の天井に青空が広がるようなイメージが見えるようではないか。

銀座四丁目で地上に上がった。するとそこで展開していたのは、なんと二人の都知事選候補の鉢合わせという、ちょっとした修羅場だった。真っ黒な人だかりと喧騒に囲まれて、一気に暑苦しい現実にひき戻された。いつもは、自由で開放的な気分にさせてくれる歩行者天国が、街頭演説や人だかりで台無しだ。

なぜ僕たちは、こうした騒ぎにこうも興奮して巻き込まれなければならないのか。静かにじっくりと取り組むべきことが、ほかにたくさんあるのだろうにね。そのまま人混みを避けるように歩いて行くと、大好きな銀座長州屋さんの前に出た。

店先を見ると、どっしりとした花鉢が二つ置かれている。長州屋さんのウィンドウの大鎧と並んで、どこ吹く風、という顔で風に揺れていた。やっと普通の空気に戻った。



Popular posts in Avokadia

レイチェル・リンド

あぶくのような人生

おそらく史上最低のFBI捜査官だけど