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5月 15, 2011の投稿を表示しています

あの彼は君ではないのか

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昨夜は、共同印刷で偉くなった友人と遅くまで飲んでいました。ネットで話題になってしまった「茗荷谷の印刷所出火」ですが、それほど大事に至らず良かったです。怪我をされた方にお見舞いを申し上げます。印刷業界では震災以降、インクや上が不足したり受注が減ったり大変ですが、これに負けずに頑張っていただきたいところです。

しかし、集英社が少年ジャンプを一週分、ネットでの無料ダウンロードにしたという話にはびっくりしました。一週たりとも遅らせることなく、被災地の読者に届けようという集英社の心意気を感じる話ですね。でもこれで、ダウンロードビジネスへの展開が早まるなんてことはないのでしょうか。NHKが地震発生後に一時期、番組をUSTREAM 配信した話に似ていますね。

ところで昨日まで、鴨長明の『方丈記』について書いてみました。そのテーマとして考えたのが「無常観」。特に、デビッド・ボウイにも登場いただいき、西洋と東洋の「無常観」のちがいなども考えました。そもそも西洋の考え方に「無常観」というものはあるのだろうか。

そこで書庫(というほどでもないけど)より一冊の本を取り出しました。ちくま学芸文庫『わが世界観』という本です。著者は、エルヴィン・シュレーディンガーというノーベル賞も受賞した物理学者。いまはなぜか「シュレーディンガーの猫」のほうが有名のようです。難解な本です。はっきり言ってかなり背伸びして読んで(ページをめくって)います。(汗)

なぜシュレーディンガーか。彼は西洋の物理科学者の代表格なのですが、独自の東洋的宗教観を持っていたことで有名だからです。晩年はウパニシャッド哲学なども研究していたそうですよ。

この天才が、この世を去る一年前に、残した『わが世界観』が、面白くないわけがない。早速、一部読んでみたいと思います。まず「自分という存在」について。

「かくも突然に無から君を呼び覚まし、君になんの関係もないこの光景を、ほんのしばらくの間君に楽しむようにさせたものは、いったいなんなのだろうか。<中略> おそらく百年もまえに誰かがこの場所に座り、君と同様に敬虔な、そしてもの悲しい気持ちを心に秘めて、暮れなずむ万年雪の山頂を眺めていたことだろう。<中略>はたして彼は、君とは違う誰か他の者であったのだろうか。彼は君自身、すなわち君の自我ではなかったのか。君のその自我とはいったいなんなのだろうか…

鴨長明は警告する

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枕草子とならび、日本最古の「ブログ(随筆)」などとして有名な『方丈記』。しかしこの『方丈記』をいま手にとって読んだら、その内容に誰もがびっくりすることだろう。(僕もまじめに読んだのは高校の「古文」以来です。「古文」大きらいだったし... )

だって『方丈記』の記述は多くは、火事や竜巻、そして巨大地震といった「大災害」に関するものなのだから。

鴨長明が体験した大災害として『方丈記』に書かれた災害を列記します。体験の年代順で『方丈記』での登場順ではありません。(カッコ内は、災害発生の西暦と長明の年齢)

1:安元の大火 [1177年/23歳]
2:治承の辻風(竜巻)[1180年/26歳]
3:福原遷都 [1180/26歳]
4:養和の飢饉 [1184年/31歳]
5:元暦の大地震 [1184年/31歳]

[3]の「福原遷都」(治承四年)が、天災のように描かれているのが面白い。実際には「平氏政権の大失策」という「人災」だ。長明は、成り上がり貴族の平家が大嫌いで、この歴史的大失敗の遷都を徹底的に批判。実際に福原まで出向いて、その地形や経済面の不備に言及し、平家の失策を手厳しく論評している。平家の威光にすがろうと必死でしがみつく小役人もこきおろす。

災害の中で最も悲惨だったのは、[4]の「飢饉」だったという。一気に迫り来る火災などと違い、飢饉は2年も3年も続いて人が死に続けるために、その姿も苦しみもが凄惨なのだという。そして、この飢饉も、一見「天災」のようでありながら、流通経済にも起因する「都市型災害」であり「人災」でもある。

さて前回の続きです。☆1
前回は『方丈記』の出だしが、デビッド・ボウイの『チェンジズ』に通じるという話を書いた。でも、デビッド・ボウイと鴨長明では、その世界観はまるで逆だと思う。みなさんはどう思われますか?

デビッド・ボウイが見る「河の流れ」とは、永遠の営みを続ける宇宙を舞台に、人間は常に変革を続けるのだというメッセージ。特に「古い世代」は「新しい世代」によって取り代わられるものだよと、オトナ社会へのプロテストでもある。そしてまた、自己変革、世代の変革。そういう前向きなメッセージなんだと思う。
< David Bowie "CHANGES" Lylics >

それに対して、鴨長明が「河の流れ」に即して書き残したかったテーマは「無常観」…