金魚池のベビーブーム
こんなきれいな池で暮らすなんて幸せな金魚ですね。☆1 さてこの金魚池。この池の金魚の個体数は、この後どうなっていくのでしょうか?
この池の中で、金魚たちはエサを食べて生活していく。病気になるかもしれないし、ご主人がエサを忘れるかもしれない。猫に襲われるかもしれない。 でも逆に、子供を山ほど産むかもしれない。こうした変化は、どのようにしたら予想できるのか。その答えを出せる数式が「ロジスティック写像」です。金魚の個体数という「初期値」をもとに、つぎつぎとその後の値を決めて行くので、「方程式」ではなくて「写像」と呼ばれるそうです。
それは、こんな風な数式で記述します。
Xnext = αXinitial ( 1-Xinitial )
< Xinitial は個体数の初期値、Xnext は次の世代の個体数 ☆2 >
この数式で得られた、Xnextの値を次に、Xinitial に入れて、次々と計算をしていきます。 Xinitialが大きくなっても、一方で( 1-Xinitial )は小さくなるので、次の世代の個体数 Xnext の増加には歯止めがかかるし、Xが1を超えれば、集団は消滅するのです。そして、この計算をつづけた結果は、とても不思議なものになるそうです。
αの値が3よりも小さい間は、最終的な個体数は一定となるのです。しかし、αが3を超えて行くと不思議なことに、一定の周期ごとにふたつの値を行ったり来たり。そしてαが、3から4の間では、周期的な挙動が次々と増大して、まさに「カオス的」な状態になるのだそうです。この様子をグラフにしたものが、以下の図です。まるで、一本の大木を横に倒したみたいに見えるのも不思議ですね。(出典:wikimedia commons)
この数式に現れる不思議な挙動は、あらゆる自然現象に、共通に見られるものだそうです。だからこの数式は、昆虫の個体数の変化を予想するのにも使えるのですが、もっと意外なところにも役立ちます。例えば、ブレーキ音や列車の車輪のきしむ音を低減する。嵐で転覆しない船を設計する。ノイズの多い信号から情報を取り出したり、停電を防いだり。天文学者は太陽系内の小惑星の分布を知るのに使っているそうですよ。
数式がからきし苦手な私には「いってえぜんてえ、なんのこってえ状態」ですが、まあ、自然界に潜む不思議な性質と、それを解き明かすような、あざやかな数式が存在するということは分かります。これは実に驚きだ。
実は、人間社会における人口増減も、不思議な動き方をする。
「ネクスト・ソサエティ」の中で、ピーター・ドラッカー氏は、人口というものは予想もしない方向に急激に変化すると述べている。アメリカでは、1925年から35年の間に、出生率が半減した。しかし、1940年には突然のベビーブーム(人口爆発)が起こった。そしてまた、1961年から1975年の間には、出生率は激減した。いずれのケースでも、おおかたの統計や政治家の予測を裏切るものだった。1980年からのベビーブームだって、実は、誰も予測しなかったものだ。
世界的な少子化の流れの中で、日本も今や「止められない少子化」の方向にあると言われています。しかし「ロジスティック写像」にふくまれるような、自然界の不思議な力が、いつ働かないとも限らないとのことなのです。
年金が崩壊の危機にあり、震災復興のための政府の財源も不足している今、国力増大のために、若い人たちの人口が増えて行ってほしいものだと思います。大学の学生数もどんどん増えてほしいものだし。
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☆1:「手づくりむかし豆腐」で有名な、京都「奥丹」庭園の金魚池です。
☆2:「美しくなければならない(紀伊国屋書店 / グレアム・ファーメロ編著)」の第6章「生きているのに最高の時代」を参考にさせていただきました。詳しくはこちらを。本当に面白いのですが、私自身は半分も理解していないかも。失礼しました!
この池の中で、金魚たちはエサを食べて生活していく。病気になるかもしれないし、ご主人がエサを忘れるかもしれない。猫に襲われるかもしれない。 でも逆に、子供を山ほど産むかもしれない。こうした変化は、どのようにしたら予想できるのか。その答えを出せる数式が「ロジスティック写像」です。金魚の個体数という「初期値」をもとに、つぎつぎとその後の値を決めて行くので、「方程式」ではなくて「写像」と呼ばれるそうです。
それは、こんな風な数式で記述します。
Xnext = αXinitial ( 1-Xinitial )
< Xinitial は個体数の初期値、Xnext は次の世代の個体数 ☆2 >
この数式で得られた、Xnextの値を次に、Xinitial に入れて、次々と計算をしていきます。 Xinitialが大きくなっても、一方で( 1-Xinitial )は小さくなるので、次の世代の個体数 Xnext の増加には歯止めがかかるし、Xが1を超えれば、集団は消滅するのです。そして、この計算をつづけた結果は、とても不思議なものになるそうです。
αの値が3よりも小さい間は、最終的な個体数は一定となるのです。しかし、αが3を超えて行くと不思議なことに、一定の周期ごとにふたつの値を行ったり来たり。そしてαが、3から4の間では、周期的な挙動が次々と増大して、まさに「カオス的」な状態になるのだそうです。この様子をグラフにしたものが、以下の図です。まるで、一本の大木を横に倒したみたいに見えるのも不思議ですね。(出典:wikimedia commons)
この数式に現れる不思議な挙動は、あらゆる自然現象に、共通に見られるものだそうです。だからこの数式は、昆虫の個体数の変化を予想するのにも使えるのですが、もっと意外なところにも役立ちます。例えば、ブレーキ音や列車の車輪のきしむ音を低減する。嵐で転覆しない船を設計する。ノイズの多い信号から情報を取り出したり、停電を防いだり。天文学者は太陽系内の小惑星の分布を知るのに使っているそうですよ。
数式がからきし苦手な私には「いってえぜんてえ、なんのこってえ状態」ですが、まあ、自然界に潜む不思議な性質と、それを解き明かすような、あざやかな数式が存在するということは分かります。これは実に驚きだ。
実は、人間社会における人口増減も、不思議な動き方をする。
「ネクスト・ソサエティ」の中で、ピーター・ドラッカー氏は、人口というものは予想もしない方向に急激に変化すると述べている。アメリカでは、1925年から35年の間に、出生率が半減した。しかし、1940年には突然のベビーブーム(人口爆発)が起こった。そしてまた、1961年から1975年の間には、出生率は激減した。いずれのケースでも、おおかたの統計や政治家の予測を裏切るものだった。1980年からのベビーブームだって、実は、誰も予測しなかったものだ。
世界的な少子化の流れの中で、日本も今や「止められない少子化」の方向にあると言われています。しかし「ロジスティック写像」にふくまれるような、自然界の不思議な力が、いつ働かないとも限らないとのことなのです。
年金が崩壊の危機にあり、震災復興のための政府の財源も不足している今、国力増大のために、若い人たちの人口が増えて行ってほしいものだと思います。大学の学生数もどんどん増えてほしいものだし。
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☆1:「手づくりむかし豆腐」で有名な、京都「奥丹」庭園の金魚池です。
☆2:「美しくなければならない(紀伊国屋書店 / グレアム・ファーメロ編著)」の第6章「生きているのに最高の時代」を参考にさせていただきました。詳しくはこちらを。本当に面白いのですが、私自身は半分も理解していないかも。失礼しました!