リラックスタイムしましょう
「ガンバる」という言葉が似合う日本人。学生時代はそれほどでもないけれど、社会人になると、みーんな突然「ガンバる」人に変身。それもあっという間のこと。いつもびっくりします。それだけ日本の社会というものは、「みんなで頑張りましょー」というムードの社会だということですね。
私自身もそうでした。学生時代は(大学院をいれて6年間も)本当にゆっくりと、人生のことを考えたりぼんやり自分の将来を考えたり。とにかく学生時代というものが、永遠に続けばいいなーなんて、本気で考えていた。
それがあるきっかけで、某放送局に就職することになって、すべては一変してしまいました。わたしも「ガンバる」社会の、立派な一員となったのです。それからおよそ24年もの間、文字通り馬車馬のごとく働いた。恐るべきことです。
6つくらい年下のイギリス人の友達がいます。サイモン君といいます。彼と知り合って日本人とは違ういろいろな価値観を教えてもらいました。その最たるものがこのセリフです。夕方になる出てくるコトバ。「レッツ・リラックス〜」つまり「ゆっくりしようよ」ということでしょうか。こういう言葉、日本人はあまり言わない。「レッツ・カームダウン」なんても言いますね。
日本人の場合、夕方になると「飲みに行くか」と言います。でも、この場合「飲み」に言っても、どうせ仕事の話するんです。決して「リラックス」したりお互いを癒やしたりするためにいくんじゃないよね。そう知っているから、最近の新入社員は先輩と飲みに行かないんでしょ?
日本人社会では、お互いをいたわりあって「ゆっくりとお休みしょうよ」などと言わない。それとは逆に「おいお前、最近サボってんじゃねえの?」とか「さあ、みんなでここは乗り切ろう」だとか「今日は徹夜だぞー」とか気合いをいれるんだ。お互いにお互いをふるい立たせている。なんだろね、大学の生活との、このギャップ。
やっぱその点、ヨーロッパの人は違うわ。産業革命以来、人間性を失うくらい働かされる歴史を経ていますからね。チャップリンのモダンタイムスという映画もあったしね。しっかり勉強したわけだ。日本人の場合、なんでまたそんなにも真面目に働くのだろう。まさか、自分が大学で送った、遊びすぎの空虚な時間を取り戻そうとしているんじゃないよね。
フェイスブックなどネットの画像を見ると、スィーツやおいしそうな食べ物がいっぱいですよね。おそらくみんな言葉にできない言葉を、そっと画像に託しているのかもしれませんね。「みなさんリラックスタイムしまよう」って。