空に雲をかける大樹


夜空を見上げると、丸い月のまわりに大きな雲がかかっていた。

雲のかかるも月のため
風が散らすも花のため

昔の人は粋なことを言うものだ。猛威をふるった台風が大気中の水分も塵も吹き飛ばして、青々と広がった今日の秋晴れの空。本当にすばらしいブルーだった。知り合いのフェイスブックやツィッターでも沢山紹介されていた。でも、午後には早くも秋の雲が出現して、いまはもう大きな雲にまで成長した。日本列島上空の大気は、本当にダイナミックに動いているんだ。

ケヤキのような大樹は、その先端の葉っぱまで水を吸い上げるのに、特殊な能力を使っている。幹の内部にあるチューブは、いわゆる「浸透圧」によって水を吸い上げてはいるが、30メートルにもなる先端までは無理である。そこからは実に、葉っぱにある細胞一個一個の浸透圧を使う。細胞壁の内側と外側の、ブドウ糖の濃度差を利用して水を吸い上げるそうだ。

そうやって、大変は工夫をして大樹が吸い上げた水分は、葉っぱの気穴から蒸発していく。だから樹木が沢山生い茂っているエリアでは、他のエリアよりも、水分の蒸発量が多いのだ。つまり森の上空にはより多くの水が含まれて、雲ができやすいのだ。人類の営みによって、樹木が伐採されてしまったエリアが乾燥してしまうのには、こうした理由がある。

樹木が削りり取られてしまった土壌は、水を吸い上げ保全する能力も低下する。全体としてその地域は、土壌からも水が失われてその上空も乾燥してしまう。こうして、土地の砂漠化が進む。先日このブログにも書いた「塩化」という状態も、その途中で顕在化する。塩化してしまった土地は、その復旧にはあまりにコストがかかるために遺棄されてしまうのだ。砂漠化のプロセスはこうして進む。

だから樹は大事にしなければならない。できれば樹は植え続けなければならないのだ。日本の土地に豊かな森林を残す事業は大変なことだけど、林業の興隆を進めながら美しい森を守っていかなければならないのだなあ、と、わが大学のキャンパスをながめつつ思うのであった。

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