水分が足りなかった


なぜこんな失敗をしたのか不思議。今日の失敗の言い訳を、言うとしたら「デジタルの弊害」ということか。大事な「ミズバリ」という作業を忘れていた。

千葉大学工学同窓会(☆1)の展覧会で「凡展」というものがある。今年で24年目だそうだ。その「凡展」に、僕は今年から参加させていただくことになった。大学の恩師が展覧会の責任者でいらっしゃるので、以前から誘っていただいていたのだが、なかなか参加出来ないでいたのだ。作品を作る時間が無かったというよりも、とても作品に自信が無かった。

それがどうしたことか、半年前に、参加の申し込みをしてしまった。すこし自信が出てうぬぼれてしまったらしい。出品用になにか描かなくては! 最終的にトルコキキョウやリンドウなど、秋のアレンジメントを家内に作ってもらってそれを描いた。

しかし、何かがおかしいぞ。せっかく額にいれたのに、どこかが変だ。なんかかっこわるい。額の中で、絵があばれている。せっかく銀座伊東屋であつらえた、白い縁の額の中で、絵のはじっこが波打っているのだ。そうだ、あれを忘れたのだ。「ミズバリ」を忘れた。水で張ると書いて「水張り」という。

デザイナーの基本じゃん。学生時代にはいつもやっていた当たり前のこと。それを忘れている。紙というものは、水を含むと伸びて大きくなる。水彩やアクリルのように、水をつかった絵では、あちらこちらが不均一に伸びて紙が波打ったようになってしまうのだ。それをふせぐために、前処理として、紙に水を含ませてを伸ばしきった状態でパネルに固定しなければならない。

なぜこんな基本的なことを忘れたのか。唖然とした。

やはり「デジタルの弊害」ということにしよう。このところ、水彩画を描いては、フェイスブックやブログで紹介させてもらっていた。その時には、紙が波打っていようが、まがっていようが、最終的にデジタル処理をして済ませていたのだ。iPhoneで撮り、フォトショップ・エクスプレスで画面枠を調整しておしまい。

だから、実物としての作品の完成のさせかたを忘れていたのだ。いやもう、だから言ったじゃないの、基本を忘れてはいかんよと。自分で学生さんにも言ってるじゃないの。デジタル時代でも「実物が大事だよ」って。来年は気をつけよう!ちゃんと「水張り」をやるのだ。でも来年、ちゃんと覚えているかな。

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☆1:千葉大学工学同窓会とは
東京高等工芸学校・東京工業専門学校(以上旧制)・千葉大学工学部・同工業短期大学部・同大学院工学研究科を卒業した人たちのことです



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