AKB48

「去者日々疎、生者日々親」(去るもの日々に疎し〔うとし〕、生きるもの日々に親し)

この言葉は中国の古典「文選」雑部の中にある詩の冒頭の句である。「人生は、常に新陳代謝して、少しも定まることなく、古きは忘れられ、新しきがこれに代わり親しくなる。」という意味である。英語訳はこうだ。" The departed become distant over time, while those who come become familiar over time."

平易と言えば平易な言葉だが、その平易さの奥に、深い意味が隠されている。「去る者」は「旅立つ人」だけでなく「死んでしまった人」や「時代遅れになったものごと」も意味する。過去のものはみな忘れ去られていく、というさびしさは、一方で、新しいものを受け入れる、喜びと活力に変わる。転変を繰り返していく自然界の冷徹な摂理を表している。

田安門付近から見たお堀「牛ヶ淵」

WRO( レゴを使ったロボコン )の日本大会会場である、科学技術館に向かう途中、皇居に残る重厚な田安門をくぐり武道館にいたる道が、若い男の子たちの行列で埋め尽くされていた。列の最後尾あたり、係員らしき男性が掲げる文字に「グッズ最後尾」とある。アニメのフェアかプロレスかな? その後、武道館の入り口の表示を見ると「AKB48」とある。やっぱプロレスじゃん。ん?さらに見ると「選抜メンバー組閣祭り」ともある。これは衆院選の演説会。いやいや、それにしては、飾り付けが派手すぎる。芸能界著名人からの花輪が林立している。

後で芸能ニュースを見て知った。「AKB48」とは、プロレスリーグでも演説会でもアニメのフェアでもない。新手のアイドルグループである。それにしても苔むす石垣に囲まれた、北の丸公園。しかもつい先日の15日には、戦没者追悼式が行われたばかりこの場所で、美少女集団による公演と、グッズにならぶ男の子たち。戦没者慰霊墓園のある千鳥ヶ淵も目の前だ。まさに「去るもの日々に疎し」。戦後は遠くなりにけりだな。それよりまず、こんなことを思う私自身が「日々に疎し」だ。

世間の流れが大きく変わり、人々の価値観も変わっていく。昔のものは忘れられ勢いを失う。新しいものは増長し大きな顔をしている。大企業といえど、有名人といえども、時代に取り残されるものは、いつか新しい勢力に飲み込まれて消えていく。こうしたことが、実に鮮やかに目の前で起きている毎日だ。

8月26日付の日経朝刊紙面も、新旧入れ替わりの事例で埋まっていた。GMと日本、そして書籍は「去るもの」なのか?

  1. 米ゼネラルモーターズ(GM)傘下の「オペル」の売却交渉が迷走。
  2. 「低温世代」の経済学。幸せ手堅い低成長仕様。キーワードは「地位・名声・収入」から「堅実・実利・充実」へと変わる。
  3. 「一国一城を捨てて」キリンホールディングスとサントリーホールディングスの経営統合。目指すは市場を支配するは巨大資本。
  4. 時価総額の世界ランキング、日本企業首位は三業種のみ。日本企業は、中国など新興国の伸長著しい企業に追い抜かれる。
  5. ソニー、米国で電子書籍端末投入、アマゾン・キンドルを猛追。

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