ゆるがじぇっと

今年もGDEX09(グッドデザイン・エキスポ)が近づいてきた。展示公開を前に、六本木ミッドタウン「A971」にてプレス・リリースを兼ねたキックオフイベントが催された。
この日は、東京工科大学のintebro(インテブロ)の活動として、キックオフイベントの撮影と、映像配信のために学生11名とともに参加した。また、会場にいらした出展者の方々に、ショートインタビューも試みた。(GDEXサイトおよび、intebro特設サイトにて公開予定)

このイベントのタイトル「ゆるがじぇっとないと」が示す「ゆるいガジェット」とは何か。インターネットのゆるいコミュニケーションを使った、新しくて可愛らしい道具たちのことである。Poken(ポーケン) / Fon(フォン) / Eye-Fi(アイファイ) / Chumby(チャンビー) / Anobar(アノバー)そして、Stickam(スティッカム)といった、最近いつの間にか登場してインターネット世代の心を掴んだ「ゆるいお友達」の面々である。

2ちゃんねるの「テレビ実況サイト」書き込みを、電光掲示板で流し続ける「アノバー」や、小型テレビ型で、ネットコンテンツを適当にひろいあげる「チャンビー」は、いわばテレビコンテンツのスピンアウト製品か。「アイファイ」によるワイヤレス・アップロード機能と「フォン」による公衆無線LAN環境の組み合わせは、無線インターネットの無限の便利さを感じさせてくれるが、どこか「ほどほど」というゆるさが残る。学生に大人気だった「ポーケン」は、無線による名刺データの交換ツール。これも現在のところは、ビジネスの現場で使われるとも思えず、とりあえずは、ハイテクなパーティ・グッズというところか。

携帯電話やPCといった、これまでの「大まじめ」なインターネットツールに比べると、これらの「ゆるい」ガジェットは、いずれも「Twitter」の流れを汲む、脱力系イノベーションに属する。いずれも、特段には肩肘はらず、その製品開発を楽しんでいるような雰囲気が楽しい。
これら「ゆるがじぇっと」プロダクツの特徴をまとめるとこんな感じか? 

1:他人のコンテンツ、他人のインフラを流用している
2:単機能でシンプルなインターフェース 
3:あっても無くても良いが、あると楽しい存在
4:既存のキャラや、既存アートシーンの路線踏襲
5:ちょっと笑える

これは私のニンジャ型Poken。
内部の私の名刺データを他人のPokenと交換できます。
下はPokenブース。アキバっぽい!


このような「ゆるがじぇっと」が生息するインターネット時空間とは、決して金融ビジネスやら国家戦略やらが行き交う、情報空間ではない。あくまで、ネットの中に蔓延しているゆるい「空気」のようなものを形にしてくれる道具のように思える。あいまいな社会状況をあいまいなままに感じる。そんな「ゆるさ」を心地よく実現するガジェットは、現代におけるトランキライザー(精神安定剤)の役割を果たしていくのかもしれない。私が身近に置いておきたいものナンバーワンは「アノバー」であった。(発売予定未定。ザンネン)

ゆるいと言えば、当日会場から「ダダ漏れ」映像配信を敢行していたのは「ケツダン・ポトフ」の、そらのさん。たったひとりでイベントに乗り込んで、リアルタイム中継をやってしまうところは、さすがに「決断」 そのゆるさは、実はゆるさにつけこんだ「するどさ」のようにも感じる。たいした行動力。intebroの学生にも見習ってほしいところである。
(下の写真:手前でカメラを操作中のそらのさん)



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