時代錯誤もいいかもしれない

もしもこの世界が、食べ物やワインで満たされていたならば。


トルクメニスタンという国は、そのように豊かな国なのだとか。

この国について、なにも知らなかった私。佐藤優氏の「インテリジェンス人間論」を読んでいたら、初代大統領ニャゾフについての興味深い文章の中で、この不思議な国について考えさせられた。

ニャゾフの政府は、国民に対して、食料やウォトカなどが豊富に供給されるように計らった。国民ひとりあたりのGDPは低くとも、生活の満足度は高いのだという。独裁制に近かったものの、国民からの政府の支持率は高かった。

なぜそんなことができるかというと、それは天然ガスなどを中心に豊富な地下資源にめぐまれているから。ロシアとヨーロッパの間にあっても、そのどちらにも属さない「永世中立国」でいられるのも、その資源による経済力があるから。

かつて中東とアジアをむずぶ交通の要衝の地にあって、古代のシルクロード貿易における、重要な拠点であったトルクメニスタン。現在は国際的知識人の育成と民主化も進むが、いまだ国境をひらくことはなく、国民に最低限の生活を保障しつつ、いわば「時代錯誤」的な社会を維持している。

ともすれば、主権国家が主張をぶつけあって、緊張感の高まってしまいそうなこのごろ。こういう「時代錯誤」も、国内の安心が守られるのならばそれもいいな。日本にも、徳川政権というディープで平和な時代があったんだよね。

江戸の市民というのは、ある意味で僕たちよりも幸福な人々だったのではないだろうか。

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