よく寝てよく遊ぶ国

ワールド・カップと参議院選挙が同時に燃え尽きた。はじまったはずの大相撲も生中継なし。阪神対巨人の首位攻防戦さえも二日連続で雨天中止。なんだか盛り上がる場所を一気に失ったような日本。

でもこの情熱の国スペインでは、世界チャンピオンとなったチームを迎えて、連日の大熱狂と聞きます。へたをすると今日あたりもまだ、だいたいこんな騒ぎが続いているのではないかと心配です。いや別に心配ではないのだが。
(写真は、7月14日にマドリード在住の友人が送ってきてくれたもの)

かりに日本が奇跡的に優勝していたとしても、道頓堀川のダイビングのような騒ぎは、せいぜい一晩のことだろう。日本人が、二晩も三晩も騒ぎ続けるなんてことは、あり得ない。日本人の頭には常に「翌日の仕事にひびきますから」という考えがあるものね。「W杯で優勝した時には日本国民は三日三晩騒ぎ続けること」なんていう法律でもないかぎり、無理だ。

その点、彼らラテン系には「シエスタ」という習慣があるから強い。14時から16時当たりのオフィスアワーに、なんと寝てしまう。日本で言えば、誰もが仕事や打ち合わせに没頭する、まさに「稼ぎ時」タイム。その時間帯で堂々と寝てしまうのだ。お店なんかカンバンだ。それだから、夕方からはみーんな大復活。恋愛に、スポーツ観戦に、芸術に打ち込む、と大いにエネルギーを注ぎ、人生を謳歌することが出来るのだ。

それにどうやら、この「シエスタ」という習慣には医学的に見て、実に合理的な生活習慣らしいぞ。スタンレー・コレン著「睡眠不足は危険がいっぱい」によると、「心身の活性が低い午後の2~3時を睡眠時間にあてることは合理的な行動であり、実はこの時間帯は交通事故が起こる頻度も上昇する」ということなのだ。( Wikipedia からの孫引きです。近々、上記書籍にて確認します)

ここのところ、EUの経済危機がとりざたされて、ギリシア、ポルトガル、スペインといった、経済に問題のある地中海諸国は、まるで罪人扱いだった。しかし、W杯での活躍で、スペインを中心に「ラテンパワー」が炸裂。経済破綻なんて「そんなのカンケイねー!」ってな勢いだ。逆にフランスなんぞは、W杯予選リーグ突破も出来なかった。おまけに革命記念日の祝賀会すらも、緊縮財政のために縮小だって。サルコジ大統領も、すっかり弱気になってしまったようだ。

「よく寝てよく遊ぶ」経済破綻のラテン系諸国と、「まじめでよく働く」財政節約の西洋諸国と、どっちが強く生き残っていくのだろうか。これまでは明らかに後者だった。日本という国も、明治維新以来、ドイツ、フランス、イギリスといった、生真面目な一流国ばかりを追いかけてきた。

しかしどうだろうか。これからはお気楽ラテン系諸国のほうへ、方向転換するというのは。日本も、スペインのような国をお手本として「よく寝てよく遊ぶ」ハッピーな国になってはどうか。今回のワールド・カップ、南アフリカ大会での「サムライ伝説」をきっかけに。

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