大晦日(おおつごもり)

世の定めとて大晦日(おおつごもり)は闇なる事、天の岩戸の神代このかた、しれたる事なるに、人みな常に渡世を油断して、毎年ひとつの胸算用ちがひ、節季を仕廻(しまい)かね迷惑するは、面々覚悟あしき故なり。

井原西鶴 「問屋の寛闊女(かんかつおんな)」

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明治6年(1873年)の1月1日より、明治政府はそれまでの太陰太陽暦(旧暦)を改めて、太陽暦(新暦)を採用した。この前日は明治5年12月2日だったという。当時明治政府は、文明開化で財政難に苦しんでおり、役人の給与が払えなくなっていた。この年の改暦は、明治政府にとって窮余の財政改革でもあった。旧暦のままでは、閏月があって13ヶ月分の給料を払わなければならないが、新暦では12ヶ月分で済む。しかもこの年(明治5年)は、12月が1日と2日だけしかないから、この月の給料も払わないで済む。太陰暦では、大晦日はもちろんすべての晦日(月の最終日)は月のない闇夜と決まっていた。太陽暦となると、月の出る晦日もあれば、月のない十五夜も起こることになる。

真説の日本史365日事典 p.7

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この改暦の詔書が発せられたのは、明治5年(1872年)の11月9日。毎日新聞の前身にあたる「東京日日新聞」はこう書いた。「さすれば朔日の日食、望月の月食も之を必ずと期し難し。いわんや晦日の月出るに至りては晦の晦たる、その名にそわず、十五夜かえって闇夜の如きは望の望たるその実を失わん」。つまり、旧暦であれば、晦日は、当然新月であり、闇夜にちがいない。日食はこの日に起こる。また望月(15日)は当然満月であり、月食もこの日に起こるのが当然であった。しかし太陽暦となれば、この習慣は無くなり、庶民は混乱するであろうという批判である。

毎日新聞 12月30日 朝刊「余録」より

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なんと今年の大晦日は満月。そして元旦にかけての夜中には月食も起きるという。
これが吉祥であることを祈りたい。


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