シングルタスク人間でいいではないか


iPhoneの電池が持たなくなったので、銀座のアップルストアに行った。ジーニアス・バーに行く前に、トイレを探したり二階でアクセサリーを見たりしたいるうちに、修理の用事を忘れそうになった。

こういうことって、ちょいちょい起きる。でも、特に僕の脳がおかしいとは思わないことにしている。人間の脳というものは、基本的に一度に一つのことしか出来ないものだと聞いたことがあるからだ。

ギターの弾き語りとか、解説しながら料理するなど、同時に二つ以上をタスクをこなすというのは、あくまで訓練のタマモノで、実際のところ、脳というものはひとつひとつのタスクの意識を交互にきりかえて作業しているのだそうた。いまも昔も、学生たちはネットで漫画を読みながら大学の授業を聴くといったマルチタスクに長けている。

一時期「マルチ人間」という言葉が流行った。おそらく空前のバブル経済に湧き立つ80年代で、同じ時間内で、いくつかの仕事を同時にこなしてしまう、スーパー仕事人のこと。それは「どんな仕事でもな出来るエライ人」であり、また「同時進行で沢山の仕事をこなすデキル人」という意味だ。

以前つとめていた会社でのことだけど、エレベーターの中での会話で、よく「いま、番組3本掛け持ちだよー」とか、「今月締め切り10本だぜ」などという勇ましい話を耳にした。僕もこういう時、いくらか多めに言うようにしていたと思う。

「一度にひとつのことしかできない」というと、いかにも仕事がデキナイという感じになる。でも、どうだろうか?本当は、ひとつのことに集中してやる方が、効率も良く成功率も高いのではないだろうか。

池に浮かぶカモ達を見てみる。水面を泳ぎ回る。エサを探す。飛ぶ。昼寝をする。泳ぎ回る。エサを探す。どう見てもシングルタスクを順番にこなしているよね。そういう彼らは、実に自己充足しているようにみえるのだが。

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