ランチの選択ミスで

これならヘルシーなの?

昨日、遥かオーストラリアにて「失望された」という話を書きました。すると、何人かの親切な友人から、なぐさめのコメントなどをいただきました。いったいぜんたい私はなにをしでかしたというのか? ご心配をおかけしてすみません。

そのプロデューサー(というかマネージャー)は、キャシーと言う方でした。もしかして元女優だったのではないかと思われるほど、なかなかの美人でしたね。お人好しでジョーク好きが多い美術部とは違って、制作部のマネージャー系の人はどこか真面目で冗談が通じない。キャシーも基本的にはいい人なんだけど、ちょっとお高くとまるところがあって、僕はそういうところがちょっと苦手でした。(嫌いなキャラではなかったし、意外と仲良しでもありました)

このキャシーがあれほど顔色なして「 ユー・ディスアポインテド・ミー(あんたにはがっかり) 」なんて言うなんて。僕だってびっくりです。だって、僕がやっていたことといったら、ただ自分のデスクで「ポーク・パイ」を食べてただけなんですから。何故それが、それほどにも彼女を落胆させたのか。

彼女いわく、

「あんた日本人でしょ。日本人というのは、清潔でヘルシーな食文化を持つ誇り高き民族ではないのか。未だ二週間たらずの滞在で、わがオーストラリア国の油っぽい『ポーク・パイ』などを食すまでに堕落するとは、もってのほかではないか。しかも汝が食いついている『ポーク・パイ』はおそらく二級品であるぞ」

だってしかたないじゃん。僕たちが働いていたスタジオというのは、実はシドニー湾に面した、サトウキビ工場の廃墟みたいなビル。内部が、遭難した宇宙船みたいに見えるっていうんで、プロデューサーのテリーが見つけてきた物件。まわりにはなんにも無いんです。わざわざ車を運転してランチを買いにいく時間もなかったので、さっき来た行商トラックのパン屋から買ったんだよー。

それにあのパン屋、この「ポーク・パイ」をオススメだって言ってたよ。

この事件があってから、僕はなるべくキャシーが来そうな状況では、気をつけてランチのメニューを選ぶようになりました。車で15分くらいのところにある、フィッシュ・マーケットまで出かけて、寿司のパッケージや、ボイルしたエビなんてものを選ぶように心がけたのである。ねえ、キャシー。もしかしてあなた、日本人っていうのはいつもいつも、築地の寿司屋かなんかでご飯食べてると思ってた?

ところで。このオーストラリアでの仕事で、僕が「失望された」のはほかにもいろいろあるのです。話し出したらきりがないほどあります。


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