ビニール袋にスイカを入れて
重慶の街では、いたるところで果物や野菜を売る屋台を目にした。両肩に天秤棒で担がれた大ざるに盛られたザクロ、大きな木製のリヤカーに積まれた桃、トラックの荷台に並べられたブドウ。どれも美味しそうではあったが、買って食べてみることはしなかった。さすがに地元の人に混じって、果物にしゃぶりつくことは出来なかった。
どういうわけか、こうしたリヤカーやトラックは、みな真っ赤であった。四川料理に使われる唐辛子の色なのか、酷暑の夏を象徴しているのか。とにかくよく目立つ。
それから、重慶で買い物する人は、みなビニール袋でそのまま運ぶ。首がないまるごとの鳥をビニールにいれて運んでいる人、豚肉らしきかたまりを運んでいる人。切ったスイカをビニール袋に入れて持って歩く人。あれはもし、ビニールのひもが切れたらどうなるんだろうと、見ていて心配であった。
電車の車内で、ビニール袋の中から直接スイカを食べている人も見た。スイカの汁が服に飛び散るかどうかなんて気にしていない。ワイルドだけど、シンプルでエコな感じがした。