ぼくと1ルピーの神様

ムンバイのスラム街を舞台にした「スラムドッグ&ミリオネア」が世界的大ヒットとなった理由はなんでしょう? 以下のA〜Dの4つから、答えを選んで下さい。

A:ムンバイのゴミ溜めをパワーみなぎる映像美でとらえた。
B:原作の物語、脚本の構成が素晴らしかった。
C:インドの音楽と、センス溢れる現代的音楽の融合が成功。
D:無名の俳優たちの、純粋で体当たりの演技がよかった。

ファイナルアンサー。答えはBです。あたりまえです。

原作である「ぼくと1ルピーの神様」[*1]を読んでみて、この答えが「B」であることを確信する。世界の誰もが知っているようで知らなかったインドの現実。インドで生まれた孤児の人生に起こりうる出来事にそって、現世の不可思議な姿を描く傑作だ。

[*1] 原題: Q $ A / 原作:ヴィカス・スワラップ
ランダムハウス講談社刊
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350ページを120分に

原作と映画ではいろいろなことが違う。当たり前のことだ。すばらしい本がそのまま素晴らしい映画になるとは限らない。「ぼくと1ルピーの神様」の人物構成や物語の流れを、仮にそのまま脚本にしてしまったならば、出来上がった映画は、長大で理解不能なぐちゃぐちゃなものになってしまっただろう。なにしろ原作の文庫本で444ページ、英語版ペーパーバックで350ページほどの内容(私は文庫本を3日で読みました)を、たった120分の映像で語らなければならない。しかし映画「スラムドッグ&ミリオネア」とその原作「ぼくと1ルピーの神様」の場合、どちらもそれぞれの表現形態のままに、素晴らしい出来栄えだ。


つづきを読む(ヴィカス・スワラップ氏のインタ)>>>

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