素直な心

経営の神様と言われた松下幸之助氏は「素直な心」の初段だったという。

松下政経塾編「リーダーとなる人に知っておいてほしいこと」に書かれているのだが、現役のころの松下幸之助氏は毎日毎日、神社や仏閣で「今日一日どうか、素直な心を持たせてください」 と祈り続けて来たというのだ。

経営的な判断や、人生における重要な決断において、余計な考えや雑念があってはならない。正しく揺るぎない判断をするためには、主観を排して偏りの無い心を持たなければならない、ということでの精神修養だ。

松下電機を、世界企業に育てた偉大なる経営者、松下幸之助が「判断を誤らないように」自分のこころの状態をコントロールしようと努力していた。ましてや凡人の私のような人間こそが、心の曇りを無くす修行を、しなけれはならないだろう。いやむしろ、凡人であるからこそ、自分の判断は、正確で公平なものであると思い込み、慢心しているのだ。

命がけの選択や、経営の大決断というものを前にした時、人間というものは、なかなか平常心でいることは難しいと思う。松下幸之助氏は、「素直な心でいさせて下さい」という祈りを30年以上続けたのだそうだ。神社や仏閣がない時には、山や空に向かって祈ったという。シロウトの囲碁だって、何百回もやれば初段になるんだから「30年以上続けていれば、なんぼなんでも初段くらいにはなるやろ」ということで、ご自身のことを「素直な心」の初段と言っていたそうだ。頭の下がる話である。

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