スケジュールの無い町

いわゆるウィンナコーヒー的な

どうして寅さんはウィーンに行ったのだろう?

このところBS-JAPANで、映画「男はつらいよ」シリーズ全作品を一挙に放送しています。毎週土曜日の録画を観るのがとても楽しみであります。

先月は、私の大好きな第41作、「寅次郎心の旅路」が放送されました。寅さんがついに海外へ、しかも音楽の都ウィーンへ出かける回ですね。これがシリーズで唯一の海外旅行なのですが、超ニッポン・ドメスティック人間、寅さんがウィーンに行くなんて、いったいどうして?

ストレス社会で心を病んでしまった商社マン坂口青年(柄本明がはまり役でした)。たまたま寅さんが乗っていたローカル線で飛び込み自殺を試みます。間一髪で助かった坂口を、心優しい寅さんは心から介抱し慰めててあげるのです。

坂口はすっかり寅さんになついてしまい、憧れだった「ウィーン旅行」に無理やり寅さんを連れ出す。とりあえず成田までは付き合おうと、いやいや付いてきた寅さん、なりゆきでスキッポ空港に降りたってしまった。

食べ物はまったく口に合わない。美術館もクラシックコンサートも寅さんには全く関係ない。だけど、寅さんのあの自由気ままなスタイルは、なぜかウィーンが似合いました。ダボシャツに腹巻き、雪駄姿の寅さんが、妙にウィーンの風景にはまっている。ほんとに、なぜでしょうかね?

このたび、PHP文庫 「男はつらいよ - 寅さん読本」を読んで、やっとその謎が解けました。山田監督いわく、この異色の作品が生まれたのは、当時のウィーン市長・ツィクルさんが熱心な寅さんファンだったから。親日家のツィルクさんは日本への飛行機の中で「男はつらいよ」を観た。そして、ビデオや劇場でも「男はつらいよ」を観て、すっかり寅さんが好きになったそうです。

山田監督に「男はつらいよ」のウィーン撮影を働きかけたツィクル市長。その口上がすばらしい。「わが町こそ、恋の町。寅さんにふさわしい舞台である。(中略)寅さんは朝起きて、自分のスケジュールを頭にインプットするなんてことは大嫌いである。そしてわがウィーン人もまさにそうである… 」

なあるほどね!

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